【いつか泊まりたい山小屋#14北アルプス・蝶ヶ岳ヒュッテ】 穂高連峰と槍ヶ岳を眺める特等席へ
ランドネ 編集部
- 2022年03月18日
「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。14軒目は、蝶ヶ岳山頂直下の稜線上に建つ、蝶ヶ岳ヒュッテをピックアップ。
Index
1,000m以上の標高差を登って出合える大展望
常念岳の南側、穂高連峰のちょうど東側にそびえる蝶ヶ岳。山頂周辺がなだらかで、とくに北アルプスでも圧倒的な人気を誇る槍穂高を眺められるスポットとして、根強いファンの多い山だ。蝶ヶ岳ヒュッテは、この蝶ヶ岳の山頂直下に佇む山小屋。60年以上、この場所で訪れる登山者を見守ってきた。
おもな登山口は、長野県安曇野市の「三股」で、上高地からも徳沢経由で目指すことができる。所要時間は、どちらも片道約4時間40分。急傾斜が長く続くが、三股からは標高差約1,200m、上高地からは標高差約1,100mを登り切ると、北アルプスのハイライトともいえる景色と赤い屋根の蝶ヶ岳ヒュッテが待っている。天候がよい日に宿泊すれば、槍穂へ沈む夕日の絶景にも出合えるかも⁉
スタッフみんなで作り上げるアットホームな空間
一歩外に出れば絶景に出合えるというロケーションのよさだけでなく、館内の清潔感、あたたかなホスピタリティがあることも、この山小屋の魅力だ。蝶ヶ岳ヒュッテの支配人をつとめるのは、就任3年目を迎える中村梢さん。宿泊客にとって居心地のよい空間にするために、スタッフとアイディアを出しながら、館内設備やサービスに改良を加えているという。
「なるべく手作りのものを」という思いを込めて提供されるごはんも、宿泊客を魅了するサービスのひとつ。地元産の食材が積極的に使用されていることも、利用する側にとってはうれしい配慮だ。蝶ヶ岳ヒュッテにはテント場もあるが、コロナ禍でテント泊の利用者が急増したことを受けて、テント泊の人にとって便利な商品の販売なども考えているそうだ。そうした思いやりがサービスのひとつひとつに込められているからこそ、訪れた人々が居心地のよさを感じる空間になっていることは間違いない。
山小屋から目指すおすすめルート【蝶ヶ岳ヒュッテ~長塀山~徳沢~上高地バスターミナル 約5時間15分】
標高2,677mの蝶ヶ岳へは片道5分でたどり着けるし、周辺の稜線上には池やお花畑もあるので、蝶ヶ岳ヒュッテを拠点にすれば遠出をしなくても充分楽しめる。公共交通機関で訪れた人に向けのプランにはなるが、三股から入り、往路は長塀山(ながかべやま)を経由して徳沢、上高地へと降りる歩き方がおすすめ。下山時に穂高や槍を眺めながら歩けるし、上高地のバスターミナルまでたどり着ければ、そこからのアクセスは充実しているので、下山後も楽に帰路に着くことができるからだ。
標高2,565mの長塀山を過ぎると、樹林帯の道になる。とくに後半に急坂の下りとなるので、足をくじいたりしないよう、慎重にゆっくりと下山するとよい。徳沢まで降りれば、そこからは平坦な沢沿いの道なので、仲間と旅の思い出を語り合いながらバスターミナルを目指そう。
蝶ヶ岳ヒュッテに到着した後、時間が許せば山小屋周辺の稜線上を少し散策してみるのもおすすめだ。槍穂が目の前にドンと迫り、登りで蓄積した疲労感を一瞬で吹き飛ばしてくれる絶景が広がっている。
蝶ヶ岳ヒュッテ
https://chougatake.com/
・標高:2,660m
・営業期間:4月25日~11月上旬
・宿泊料金(税込):1泊2食13,000円、素泊まり9,000円、お弁当1,500円
・電話番号:090-1056-3455(7:00~20:00)
※シーズン以外は蝶ヶ岳ヒュッテ松本事務所(0263-58-2210)へ問い合わせ。
・コロナ禍での確認事項:完全予約制、個室あり(1室15,000円。最大5名まで)、マスク・アルコール消毒液要持参
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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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