生理のようすだけで、排卵しているかどうかわかりますか?【聞きたいけど聞けない生理の悩み④】
YOLO 編集部
- 2019年11月02日
スポーツドクターの資格を持つ産婦人科医・高尾美穂先生。国立スポーツ科学センターの女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバーとしても活動するトレ女の味方・高尾先生に、生理についてうかがう連載です。第4回は、生理のようすで排卵の有無がわかるのか?というお話です。
排卵の有無を知る方法は基礎体温の計測だけ
「そもそも、まず生理周期がだいたい1カ月ぐらいで周期的に来ている人の場合、排卵していなければその間隔では来ません」と高尾先生。
「だからほとんどの人は排卵しているけれども、本当に排卵しているのか不安に思っているケースはあります。ただ、外来に来てくれて『排卵しているかどうかを知りたい』と言われた時、知る方法は基礎体温の記録以外にはないのです」
「基礎体温は、体温が上がる時期があるかどうかを見るもの。プロゲステロンというホルモンが出た時にのみ体温が0.3~0.6度とわずかに上がるから、上がった時期はプロゲステロンが出たと言えます。プロゲステロンが出る前には排卵が必ずあるし、その前にはエストロゲンが出たはず、というところまで言える。結局知りたいのは、ホルモンのピンポイントの値ではなく変化だから、記録をつけなくてはいけない」
それなら、心配ならまずは基礎体温を計ったほうがいいですね?
「何も手持ちなしで外来に来てくれるよりは、2カ月くらい基礎体温をつけて来てくれたら、話せる内容はすごく増えます。しかも『ちゃんと排卵しているよ』って言い切ることもできる」
ホルモンの問題は、すぐに診断できない
「外来のその場でわかる問題点は、体の『つくり』すなわち構造の問題なんです。子宮筋腫やポリープは、その場でわかる。子宮頸がんやクラミジアもいわばつくりの問題で、検査の結果が出るまで1週間ぐらいかかりますが、診断できます」
体の「つくり」以外のもう一つの問題は、体の「働き」に関する問題です。
「『働き』の問題というのは、いわばホルモンの問題。生理がある年代にピンポイントで血液検査をする場合、血液検査をする時期をちゃんと決めて測れば診断ができるけれども、たまたま外来にやってきた日に採った血液検査の数字では、ほぼ何も言えない」
「ホルモンの変化を知りたい場合、毎日血液検査をするのは現実的ではないから、その代わりにできることが基礎体温の計測なんです。地道な検査だけれども、すごく情報は多いので、気になっているのであれば、記録してくれたらと思います。一日二日測定できなくて記録がないのはまったく問題なくて、ある程度の期間継続してくれることのほうが意味は大きい」
毎朝基礎体温を計るのは大変ですが、ホルモンの変化を知るにはとてもいい方法なのです。
監修:高尾美穂/産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック・イーク表参道で副院長を務める
ライター:沢田聡子
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