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骨盤の歪みはどうして起こる?チェックしたい体の歪みと生活習慣

 よく聞く「骨盤の歪み」とは?

「体の歪み」と言われた時、骨盤の歪みが気になるという人が多いのではないでしょうか。それは、体の中心に骨盤があるため、体の軸として気になるからだと思います。しかし、骨盤の歪みの多くは骨盤自体の歪みが原因というより、まわりの筋肉(首、肩、胸、腰、股関節)が硬くなり、緊張していることが問題になります。実際、骨盤につながる筋肉の数は30もあります。そのため、日ごろの姿勢や全身の体をケアすることが骨盤の歪み、そして体の歪みの予防につながります。骨盤や体の歪みを予防する第一歩は、姿勢への意識を変え、正しい姿勢を維持することからです。

体が歪むのはなぜ?

自分の体は歪んでいるのか?ということも気になりますが、そもそも人の体はなぜ歪んでしまうのでしょうか。歪みとは何か?正しい姿勢とは?そんな疑問に答える“歪みの基礎知識”をまとめてみました。

 

歪みは生活習慣から生まれる

「ストレスが物体の歪みを起こさせる」。もともとストレスは機械工学の分野で用いられてきた言葉です。家の柱が1本でも斜めに傾いていると、別の場所に負担がかかり、それらが連鎖して壁がずれたり屋根がずれたり、不具合が生じます。これは、私たちの体も同じです。歪みは、日常生活での活動や悪い姿勢などで体にストレスが加わった結果、起こるものと考えられています。

スポーツなどで特定の筋肉のみを多く使う場合も、歪みの原因になります。例えば、ゴルフでは片方でしかスイングを行わないので、反対の方へひねる動きが悪くなります。サッカーや野球なども利き脚、利き腕を多く使うので、筋肉の疲労や筋肉量が左右で変わってしまいます。ランニングもアキレス腱や太モモの前など、特定の部位に負担がかかります。これらを放っておくと、体の歪みにつながり、パフォーマンスが低下したり、ケガをしたりすることもあります。

 

家の場合は材料により寿命に差はありますが、耐久年数があります。家の柱が木材でできていて、柱が傾いて歪んだ状態のままにしておくと、木材の柱はさらに歪み、家全体が傾いてしまいます。これでは安心して暮らせないので、建て替えや補修をしていきます。

人間の体も同様です。私たちの体も老化により、だんだん弱くなってきます。歪みを放っておくと体は無理をしている状態が続いてしまうので、肩こりや腰痛だけでなく、頭痛や代謝低下などさまざまな不調の原因になります。そのため、歪みを整えていくことが重要になります。そして、歪みにくい体にするために、歪みを整えることと同時にバランスを整えるエクササイズや筋力を上げるトレーニングが大切になります。

 

無意識に骨盤を歪めてしまう生活習慣とは?

脚を組んで座ったり、かばんをいつも右手で持っていたり、何気なくやっているクセや生活習慣の中に骨盤の歪みの原因はあります。歪みのもととなる生活習慣をチェックしましょう。

 

【デスクワークなどの同一作業】
同じ姿勢のまま長時間作業をしていると、特定の部位が緊張し、余計な負荷がかかるので筋肉や関節が固まりやすくなります。筋肉や関節が固まると動きに制限が出てしまい、それを他の部位で補おうとするため、他の部位にさらに歪みが生じます。歪みを防ぐには、こまめに体を動かして悪化を防ぐといいでしょう。また、正しい姿勢を保つにはある程度の筋力が必要なので、エクササイズで体を鍛えておきましょう。

【かばんの持ち方】
いつもかばんを持つ手が決まっているという人は要注意です。かばんを持っていると、かばんを持っている方ばかりに体の重心が偏るからです。そうすると体は姿勢を維持しようと働くので、かばんを持たない方の筋肉に余計な力が加わります。例えば、左手にかばんを持った場合、かばんの重さによって重心がずれ、体は倒れないように右へ直そうとします。すると、腰や肩への歪みが生じることが多くなります。また、両肩に背負うリュックサックでも、後ろに重心がずれるので、歪みが生じてしまうので注意が必要です。

【利き手や利き腕】
利き手が歪みの原因になる理由は、利き手ばかりで作業をしてしまうため、筋疲労の度合に偏りが出てしまうからです。また脚は、利き脚と軸足とに分かれています。利き脚を動かしている時は、姿勢を維持するために軸脚に負荷がかかりやすく、歪みが生じます。利き手足と逆の手足で同じ作業をやるなど、こまめに調整しましょう。

【片脚重心】
本来、体重は両脚に分散しているものです。ところが片脚重心の場合は、重心がどちらか一方に傾くことで、必要以上に力がかかるところと、逆に全くかからないところがでてきます。その左右差を脚、骨盤、背骨のどこかで補おうとするために歪みが生まれます。

【パソコンやスマホの使用】
パソコンを使っている時の姿勢を思い出してみましょう。かなり低い位置に顔(頭)を合わせて、首が前に出た姿勢になっていませんか?また、スマホを使う時も注意したいですね。ほとんどの人がスマホを手元で操作し、顔をのぞくようにして画面を見ています。こうして姿勢が崩れると、首や肩を中心に歪みが生じます。これは、読書の時も同様です。理想は対象物の方を顔の位置に合わせること。まずはスマホや本を顔の前まで上げてみましょう。

【脚や腕を組む、あぐらをかく】
脚や腕を組むと、どちらかが上に、どちらかが下になります。すると、脚や腕そのものの重みや体重のかかり方に左右差が生まれ、歪みが生じます。また、あぐらの場合は重心が後ろに行きやすく、それを修正しようとするため骨盤が後傾しやすくなります。こうした姿勢では、骨盤や体のねじれに加えて内臓もねじれるので、内臓機能の低下を起こしやすくなります。

【横座り】
横座りは、左右のお尻にかかる体重(座圧)が変わってしまうことにより、体が傾きます。その体を倒れないように姿勢を保とうと、座圧の軽い方に体が傾きます。この姿勢をキープしようとすることで、脊柱の側弯が起きやすくなるのです。また、座圧のかかり方が違うことから、骨盤の歪みが起こることもあります。

【ハイヒールを履く】
ハイヒールは重心の位置が安定しにくいため、体の前か後ろに重心がずれてしまう人が多くいます。前に重心を保つ人(前方重心)の場合、その代償として骨盤が後傾しやすい傾向にあります。逆に、後方に重心を保つ人(後方重心)であれば、それを補おうとして骨盤が前傾しやすい傾向にあります。必ずしも骨盤が傾いてしまうとは限りませんが、ハイヒールを履いても歪まない体を手に入れるには、ある程度の筋力が必要になります。

【高い枕で寝る】
枕の高さは人によって好みがありますが、高い枕で寝ると、首の自然なアーチが保てないので、首が圧迫されてしまい歪みにつながります。朝、起きた時に肩や首が痛い場合は、枕が体に合っていない証拠です。また、寝ている時は、寝返りをうって、姿勢を変えることが大事です。長時間同じ姿勢でいると、体の重さを常に同じ部分で支えることになり、筋緊張が起こりやすくなります。そのため、寝返りをうつことは非常に重要なのです。

 

骨盤は悪い姿勢や偏った動きにつられて傾く

骨盤の歪みを気にする人が多いのは、骨盤が体の姿勢にとって大きな役割を果たしていることや骨盤に関係する筋肉やそのまわりの筋肉が過度に緊張して、本来の力を発揮できないこと、またその緊張が神経を圧迫して痛みが出たり、血液循環にも影響することなどが挙げられます。そもそも骨盤は一つの骨ではなく、寛骨(かんこつ)、仙骨(せんこつ)、尾骨(びこつ)の3つからできています。寛骨も、もともとは一つではなく、腸骨、坐骨、恥骨の3つが10代のうちにくっついて寛骨になります。

このように骨盤は複数の骨からなる複雑な構造をしているので、まわりの筋肉の緊張やゆるみにより傾いてしまうことが多いです。悪い姿勢や偏った動きによる骨盤周辺の筋肉のバランスが崩れが、骨盤の位置を正常に保てなくするのです。また、運動不足や筋力不足でも傾きやすくなり、骨も弱くなります。そのため、日ごろから正しい姿勢を意識することが大切です。

【骨盤の動き】
・骨盤の後傾:腰を丸める動き
・骨盤の前傾:腰を反らせる動き
・骨盤の拳上:左右の一方が上がること
・骨盤の下制:一方が下がること
・骨盤の回旋:左右に回ること

骨盤に関わる筋肉は30もあります(股関節には23の筋肉が関与)。そのため、いろいろな動きを行い、筋肉のコンディションを整えることで歪みを予防しましょう。

骨盤は立っている時も重要ですが、座っている時も、姿勢によっては歪みの温床になります。スマホを太モモの上で持ち、猫背姿勢になってだらっと座っている人を電車などでよく見かけますが、これは骨盤の後方にある仙骨で座り、背もたれにもたれ過ぎている「仙骨座り」といいます。この姿勢を長く続けると腰痛や股関節痛の原因になります。座る時の正しい姿勢は、坐骨で座ることです。坐骨という名のとおりで、骨盤を立てるように座ると自然と背すじが伸びるので、歪みの予防につながります。

 

歪みは連鎖します

体はたくさんの筋肉が骨を支えて骨格を形成しています。そのため、一か所の筋肉がこっていたり衰えていたりすると、その筋肉が支えられない分を他の筋肉が補おうとするので、無理が生じてきます。これが歪みになるわけですが、その歪んでいる状態を放置すると、さらに他の筋肉で補おうとしてしまいます。つまり、歪みは体中で連鎖するのです。なので、歪みは気になる部分だけでなく全身をチェックし、エクササイズやストレッチでリセットするのが望ましいのです。

 

正しい姿勢を確認しよう

正しい姿勢とは何でしょうか。それは、ただモデルのような美しい姿勢というだけではなく、ニュートラルポジションと呼ばれる姿勢であることがポイントです。ニュートラルポジションとは、骨盤、脊柱(背骨)、頭の位置が正しい位置にあり、重力に対して無理のない姿勢のことです。この姿勢は、力学的にも安定しているため、体への負担が少なく、疲れにくく、痛みも起こりづらい効率のいい姿勢ともいえます。

正しい姿勢を意識することはとても重要です。正しい姿勢を保つということは、普段は歪みにつながってしまう姿勢を矯正すること。意識するだけでも体に対する負担が少なくなり、歪み予防につながります。立ち姿勢で横から見た場合と正面から見た場合で、骨盤の前後左右、脊柱、頭が正しい位置であることが求められるので、正面と横の2方向から確かめる必要があります。

 

【正面から見た姿勢】
1.肩の高さが水平か(左右差がないか)
2.頭が体の中心線上にあるか(傾いていないか)
3.骨盤の高さが水平か(左右差がないか)

鏡で正面からの姿勢を見て、左右差がないかをチェックします。鏡などに目安となるひもかテープを貼るのがいい方法です。または、後ろからだれかに見てもらうのもいいですね。

 

【横から見た姿勢】
1.耳たぶ
2.肩峰(肩の真横)
3.大転子(太モモの付け根の横)
4.膝関節の中心よりやや前
5.外くるぶしのやや前
横から見て上記が一直線上にあるかチェック。

脊柱では重心線に対して頸椎が前弯し、胸椎は後弯、腰椎は前弯、仙骨は後弯といった生理的に決まった弯曲があります。弯曲の度合いは、いくつかのタイプに分かれます。これらの違いは、生まれ持ったものと、日常の悪い姿勢の繰り返しやコアのインナーマッスルである腹横筋や大腰筋などのコンディションによって影響されるものがあります。

 

4タイプの歪みをチェックしよう

歪みはさまざまな状況下で起こり、人によって歪む部位も歪み方も異なります。ここではとくに代表的な4タイプの歪みを紹介します。

 

【前弯—後弯姿勢】特徴:ビール腹の人、ハイヒールをよく履き筋力が弱い人など

前弯—後弯とは、首から腰にかけての脊柱の弯曲(曲がり方)のことを指し、猫背で腰が反っている状態です。お腹の腹筋群と脚を後方にもっていく力である股関節伸筋群(股関節を伸ばす筋肉)が弱いと起こりやすくなります。また、あごが前に出て、頭もつられて前へ移動する頭部前方位でもあります。猫背のため、背中の肩甲骨を寄せ、胸を張る動き(胸部の伸展筋群)が弱くなっています。

灰色ラインの正しい姿勢に対して、赤で示したこのタイプの姿勢は背中のラインが後ろにずれたり、骨盤が前に傾き、ずれていることがわかりますね。改善のためには、首や肩の筋肉と大胸筋をストレッチでほぐし、胸を張る意識を持つことが大事です。また、お尻の筋肉を鍛えていくと腰の反りを改善しやすくなります。

ストレッチやマッサージでほぐす筋肉
・頸部屈筋群の深層(あごを胸に近づける筋肉)
・僧帽筋下部(背中中央の下)
・大殿筋(お尻の筋肉)
・中殿筋(お尻の横の筋肉)
・胸椎部起立筋(胸を張る姿勢で使われる筋肉)など

筋トレで鍛える筋肉
・後頭下筋群(頭の後ろの付け根部分の筋肉)
・僧帽筋上部(背中中央の上の筋肉)
・大胸筋(胸の筋肉)
・腸腰筋(太モモを引き上げる筋肉)
・大腿直筋(太モモの前の筋肉)
・大腿筋膜張筋(太モモの横にある筋肉)など

 

【フラットバック】特徴:電信柱のような姿勢の人

フラットバック姿勢は脊柱(背骨)の弯曲がない、まっすぐな姿勢を指します。まっすぐであることはいいように感じるかもしれませんが、背骨は自然な弯曲があるのが正しい姿勢であり、弯曲のない脊柱は歪んでいることになります。

灰色の正しい姿勢と赤で示した姿勢に首、肩、骨盤、ヒザなど各パートでの重心のずれは比較的少ないように見えますが、骨盤や胸郭(胸の部分)のずれにより脊柱がフラットになります。腰椎の前弯が減少し腰が丸くなっているため、脊柱の動きが制限されます。すると、上半身の前屈(上体を前に倒す)や後屈(後ろに倒す)がしづらくなります。骨盤が前傾するように、股関節の屈筋(太モモを引き上げる力)や腰部の伸筋の強化(脚を後方に移動させる力)が重要です。

ストレッチやマッサージでほぐす筋肉
・後頭下筋群(頭の後ろの付け根部分の筋肉)
・ハムストリング(太モモの裏の筋肉)など

筋トレで鍛える筋肉
・腸腰筋(太モモを引き上げる筋肉)
・大殿筋(お尻の筋肉)など

 

【スウェイバック】特徴:お尻、お腹がペタンコの人

スウェイバックは、股関節の姿勢を支持する筋肉が弱くなっていると起こりやすくなります。そのため、腸骨大腿靭帯(股関節内で直立姿勢の保持を助ける靭帯)で体を支えるように骨盤を前方に移動させている形で、股関節の後方の筋群(お尻の筋肉など)は短縮し、弱くなっています。

灰色の正しい姿勢に対し赤で示した姿勢は骨盤が前にずれていますね。改善のためには腹斜筋(体幹をひねる筋肉)、腸腰筋(太モモを引き上げる筋肉)、内転筋(太モモの内側の筋肉)、大殿筋(お尻の筋肉)、中殿筋(お尻の横の筋肉)などの強化が必要です。頭部前方位(あごが前に出て頭も移動する)も同時に起こることが多いです。大殿筋(お尻の筋肉)を使いにくいのでヒップアップしづらい姿勢です。

ストレッチやマッサージでほぐす筋肉
・後頭下筋群(頭の後ろの付け根部分の筋肉)
・僧帽筋上部(背中の中央の上部)
・胸鎖乳突筋(首をひねる筋肉)
・斜角筋(首を傾ける筋肉)
・大殿筋(お尻の筋肉)など

筋トレで鍛える筋肉
・頸部屈筋(あごを胸に引き付ける筋肉)
・腹斜筋(体幹をひねる筋肉)
・腸腰筋(太モモを引き上げる筋肉)
・胸椎部起立筋(胸を張る姿勢時に使われる筋肉)など

 

【軍隊(凹はい)タイプ】特徴:筋肉はあるが体の柔軟性があまりない人

まるで敬礼をしているかのように見える軍隊タイプ姿勢の人は、筋肉量が多い人によく見られます。筋肉がついていても、柔軟性を伴わない筋肉だと、使われて縮んだ状態が続くので筋肉が硬くなり、関節や骨に負担がかかってしまいます。腰や太モモが硬い人の多くが、このタイプの歪みにつながります。

灰色の正しい姿勢と赤で示した姿勢では、骨盤などがややずれていますね。そのため、腰が反る原因でもある骨盤の前傾をゆるめるとともに、胸郭(胸の部分)が前方に移動するのを抑えるように意識するといいでしょう。腰が常に緊張しているので背筋痛などを起こすことが多く、腹筋の下部(下っ腹)の強化と腹筋上部で胸郭の下を引き寄せるようにすることで改善できます。

ストレッチやマッサージでほぐす筋肉
・背筋下部、腸腰筋(太モモを引き上げる筋肉)
・大腿筋膜張筋(太モモの横にある筋肉)など

筋トレで鍛える筋肉
・腹斜筋(体幹をひねる筋肉)
・ハムストリング(太モモの裏の筋肉)
・大殿筋(お尻の筋肉)など

 

歪みに関わる主な筋肉

 

体の歪みをチェックしよう

歪みを解消するには、自分には歪みがあるのか、体のどこが歪んでいるのかをまず確かめましょう。自分自身の歪みを知れば、日常生活の意識も変えられます。歪みを正して、不調を撃退しましょう。

 

【首回しチェック】

首は普段気がつかないところで歪んでいる部位のひとつです。例えば、会社のデスクの向きや食卓とテレビの向きなど、右ばかり見るような状況が続いてしまうと、左に向く方の筋肉がこりかたまってしまうので、右と左に向くのでは差が出てしまいます。

症状・悩み:肩こり
鍛えられる筋肉:胸鎖乳突筋(首)

姿勢を正して立ち、左右に3回~5回ずつ首をゆっくりと回します。どちらの首が回しにくいか、硬いと感じるかを確かめましょう。ポイントは肩をすくめず、ゆっくりと首を回すことです。反動をつけて行わないように注意してください。

 

【首の屈曲チェック】

首の歪みは、左右差や硬くなっている度合で確かめます。また、首の歪みは痛みとは関係のない部位と思われがちですが、肩こりの予防やスポーツでの頭の動きに関与するので、しっかりとチェックしましょう。

症状・悩み:肩こり
鍛えられる筋肉:胸鎖乳突筋(首)

姿勢を正して立ち、左右交互に3回~5回ずつあごを左右の鎖骨に近づけます。この時、肩はすくめないようにします。あごが鎖骨につかない場合、どのあたりまで曲がっているかを確認します。ゆっくりと行い、どちらが硬いかをチェックしましょう。

 

【肩の高さチェック】

カバンをいつも同じ方の肩にかけていたり、スポーツで片方を多く使ったりしていると、肩にある僧帽筋や広背筋などが硬く縮こまってしまい、左右の肩の高さが変わってしまいます。まっすぐ立ち、肩周辺の左右差を見ることで、歪みのチェックができます。

症状・悩み:肩こり
鍛えられる筋肉:僧帽筋(首~肩)、胸鎖乳突筋(首)

鏡の前に立ち、姿勢を正して肩の位置を見ます。この時、靴などは履かずに裸足で行いましょう。左右の高さが同じであればOK。どちらかの肩が上っていたり、下がっていたりすれば肩が歪んでいる証拠です。鏡の前で高さをチェックしましょう。

 

【肩の前方移動チェック】

自然に立った時に肩が前に出るような姿勢を上腕骨頭前方突出といい、胸の筋肉や背中の僧帽筋上部、首の筋肉(肩甲挙筋)などが緊張したり、縮こまったりしていることが多いです。このような状態になると肩が前に出て、猫背やあごが前に出てしまうような姿勢になる可能性が高くなります。

症状・悩み:肩こり、猫背
鍛えられる筋肉:胸鎖乳突筋(首)、肩甲挙筋(首)、胸郭(胸)

肩の力を抜き、鏡の前で立ちます。この時手の甲が鏡に映ったり、横から見た時に肩が前に出たりしていないかをチェックします。手の甲と肩が体の真横にあればOKです。手の甲が前を向いている、または肩が真横にない時は肩が歪んでいる証拠です。

 

【肩の外旋チェック】

肩のインナーマッスルに左右差がないかチェックします。肩のインナーマッスルを歪みのない状態にしておくことは、四十肩や肩こりを予防するだけでなく、スポーツ中の肩に関するケガの予防などにもなります。

症状・悩み:四十肩、肩の痛み
鍛えられる筋肉:棘下筋(肩)、小円筋(肩)

立ち姿勢で、ヒジを90度に曲げて肩の高さで保ち、ヒジを支点にして左右同時に2回~3回腕をゆっくり上下させます。歪みがあると左右の腕の動きに違和感を感じる、あるいは左右で同じように上げることができません。

 

【広背筋チェック】

広背筋は背中の筋肉で、正面から見た肩のシルエットや腕を使うスポーツなどのパフォーマンスに関わります。ここが硬いと、腕がスムーズに上がらなかったり、無理に上げると腰も同時に動いてしまい左右差が出てしまいます。

症状・悩み:腕が上がりにくい
鍛えられる筋肉:広背筋(背中)

壁に背中と腰をつけてヒザを曲げます。両腕をまっすぐ伸ばし上げていき、耳の位置くらいまで上げることができればOK。腰は壁から離れないようにしましょう。背中が歪んでいると、腕の上り方に左右差が出ます。

 

【背中サイド側弯チェック】

背中や腰の筋肉に左右差があるかどうか、全体的に緊張して硬くなっているかどうかなどを確認します。ウエストのくびれや腰痛予防などにも関わるので、この部位が歪んでいる人は正しい姿勢に改善していきましょう。

症状・悩み:背中痛、猫背、側弯
鍛えられる筋肉:腰方形筋(腰)、広背筋(背中)

鏡の前でイスに座ります。両腕を上げて耳につけ、手のひらを合わせた状態で真横に倒した時の左右差を確認しましょう。左右に差がなければOK。どちらかが倒しにくい、または倒せないという人は背中が歪んでいます。

 

【わき腹ひねりチェック】

上体を左右にひねる動きに左右差がないかをチェックします。猫背の人は、左右へ動くのもひと苦労するはずです。正面から左右25度ずつ動かすことを目安にやってみましょう。

症状・悩み:猫背
鍛えられる筋肉:胸郭(胸)、腹斜筋(お腹)、広背筋(背中)

鏡の前でイスに座り、手は胸の前で組みます。骨盤は動かさないようにし、おへそから上を左右にひねりましょう。おへそは常に前を向いているようなイメージで、体の前面を一直線にひねって左右差を確認します。肩が前に出ないように注意しましょう。

 

【普通の姿勢をチェック】

上体の姿勢をチェックします。まずは猫背になっていないかを確認しましょう。猫背になっていると、首や肩などに負担がかかり、さらに悪い姿勢となります。正しい姿勢を意識することと、その改善や予防のためにエクササイズやストレッチを行うことが重要です。

症状・悩み:ストレートネック、猫背、肩こり
鍛えられる筋肉:胸郭など上体

鏡を使い、イスに座ってスマホなどを見ている時の姿勢をチェックします。写真のように、首、肩、腰の位置が正しければOKです。

 

【腰と太モモ裏チェック】

体の背面の柔軟性をチェックします。背中や腰、太モモの筋肉が硬いと、骨盤が正しい位置からずれてしまいます。また、スポーツをする人はケガの防止にもなるので、体の背面の柔軟性を高めていきましょう。

症状・悩み:腰痛、脚がつりやすい
鍛えられる筋肉:脊柱起立筋(背中)、ハムストリング(太モモ裏)

立ち姿勢から前屈を行います。手や指がどこまで床につくかを確認しましょう。ヒザを曲げたり、反動を使わないで、手のひらが床につくくらいの高い柔軟性が理想です。指が床につかない人は、まずつくことを目標にしましょう。

 

【壁立ち腰の弯曲チェック】

壁を背にして立ち、腰の弯曲を確認して、自分の姿勢のタイプをチェックします。姿勢のタイプがわかると、どこが歪んでいるのか、何が原因なのかを自覚できるので、自分に合ったエクササイズ選びもできるようになります。

症状・悩み:腰痛
鍛えられる筋肉:腰椎(腰)

壁を背にして立ちます。カカト、お尻、背中、頭を壁につけた時に、腰の弯曲がどれくらいあるかを、壁と背中の間に手のひらを差し込んで確認します。普段の姿勢に対して、腹横筋などを使うとどう姿勢が変わるかなどもチェックしましょう。

 

【骨盤の高さチェック】

骨盤の前の骨にあるでっぱりの高さを確認することで、歪みをチェックします。骨盤には30もの筋肉がついているので、まわりの筋肉により骨が引っ張られたり、筋肉がゆるんだりすることにより、骨盤の高さが変わります。

症状・悩み:腰痛、骨盤の歪み
鍛えられる筋肉:骨盤

鏡の前に立ち、骨盤の前にある骨のでっぱり(上前腸骨棘)に人差し指をあてて、左右の高さに違いがあるかどうかをチェックします。左右の高さに違いがなければOK。左右で高さに違いがある人は骨盤が歪んでいます。

 

【骨盤の傾きチェック】

鏡の前で横向きに立ち、骨盤の前にある骨のでっぱり(上前腸骨棘)に人差し指をあてて、骨盤の傾きをチェックします。骨盤の正しい位置を知っておくと、歪みのない正しい姿勢を維持できます。普段の姿勢を再現し、自分の骨盤の位置を正確に確認しましょう。

症状・悩み:腰痛
鍛えられる筋肉:骨盤

鏡の前に横向きに立ち、骨盤の前にある骨のでっぱり(上前腸骨棘)と、恥骨(太モモのつけ根周辺)を結んだラインが壁と平行かを確認します。骨盤の傾きが正しければ、背中、お尻、カカトがきちんと壁につきます。

 

【O脚チェック】

両脚をつけて、ヒザのすき間を見てO脚であるかチェックをします。痛みなど問題がある場合は、整形外科などの専門医に相談しましょう。

症状・悩み:О脚、ヒザ痛
鍛えられる筋肉:ヒザ

鏡の前に立ち、両脚をつけます。ヒザの間に指を入れるすき間がどれくらいあるかでO脚の度合いをチェックしましょう。ヒザの間に指が入らない、または2〜3本入る程度ならOK。それ以上入ってしまう場合は、O脚傾向にあります。

 

【X脚チェック】

両ヒザをつけた時に、くるぶしの間のすき間を見てX脚かどうか確かめます。痛みなど問題がある場合は、整形外科などの専門医に相談しましょう。

症状・悩み:X脚、ヒザ痛
鍛えられる筋肉:ヒザ

鏡の前に立ち、両ヒザをつけます。両くるぶしの間に指を入れ、すき間がどれくらいあるかを確認しましょう。指が入らない、または2〜3本入る程度ならOK。それ以上入ってしまう場合はX脚傾向にあります。

 

【ふくらはぎと足首チェック】

ふくらはぎのコンディションをチェックします。ふくらはぎは、第二の心臓と呼ばれるほど、血行促進に関係しているため、柔軟性や筋肉の柔らかさを保つことが大切になります。また、ふくらはぎそのものだけでなく、足首の柔軟性なども関わってくるので、しっかりチェックしておきましょう。

症状・悩み:冷え性、むくみやすい
鍛えられる筋肉:ふくらはぎ

片ヒザ立ちでしゃがみ、曲げた脚のヒザを前方に押し出します。ヒザがつま先の位置に対して、どれくらい前に出ているかをチェックしましょう。この時、ヒザがつま先より10センチ以上出ていればOKです。

体の歪みは、日常生活の習慣やクセなどが原因で起こります。日頃から美しい姿勢を意識して歪みを治しましょう。

 

出典:『ゆがみを正す100の基本』
監修:横山格郎、萩原聖人
ライター:YOLO編集部

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