猫背は見た目年齢を左右する!体幹を鍛えて老け見えシルエット改善
- 2021年01月25日
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猫背改善のカギは体幹にあり!
猫背は老け見えの原因と言われています。実際、猫背の人ほど、実年齢と“見た目年齢”の差が大きいというデータも発表されています。猫背をもたらす最大原因として考えられるのが体幹の筋力不足です。体幹とは、骨盤と肋骨とに付着、腹をとり囲むようにして位置する数種類の筋肉で、「インナーユニット」と呼ばれることもあります。
インナーユニットに分類される筋肉の多くは、背中とお腹まわりに位置しています。このインナーユニットを鍛えると、ラクに正しい姿勢がとれるようになります。あわせて、猫背と深い関係のある骨盤もニュートラルなポジションへと導くことができるという相乗効果も期待できます。
猫背の人が硬くなりやすい筋肉をストレッチでリリース
もうひとつ体をゆがませ、猫背を引き起こすのが硬くなった筋肉です。筋肉は自分で縮むことはできますが、伸びることはできません。ゴムをイメージしていただければわかりやすいかと思います。ゴムも縮むことはできますが、伸ばすときは引っ張らなくてはなりません。筋肉もゴムとまったく同じ性質を持っているのです。
また、長時間同じ姿勢でいると筋肉はどんどん縮んでしまい、その結果、背骨は筋肉に引っ張られてゆがみが生じます。それが悪化すると骨自体の構成がゆがんで、肩の高さが異なるなどの左右差が現れることもあります。
筋肉の硬さをとる最善策はストレッチです。硬くなった筋肉を柔らかくするためには、筋肉を伸ばして硬さをリリースする以外に策はないのです。あわせて、同じ姿勢で長時間いない、時折姿勢を正すなど、日頃から正しい姿勢を意識することを習慣化することも大切です。
正しい姿勢をチェック! “一直線” が理想の姿勢
ここで、正しい姿勢とはどのような状態なのかを確認してみましょう。まずは壁に体をつけて直立してください。①後頭部、②肩甲骨付近、③お尻、④カカトの4点がしっかり壁についていますか?どこか一箇所でもつかないところがあるなら、不良姿勢=猫背である可能性大です。次に鏡を見て、①肩、②腸骨稜、③上前腸骨棘、④大転子、⑤膝蓋骨、⑥外くるぶしのどこかの高さに左右差があるかもチェックしてみましょう。左右の高さが違うようだったら、猫背が進行して体全体にゆがみが生じている証拠です。
FRONT
①肩、②腸骨稜、③上前腸骨棘、④大転子、⑤膝蓋骨、⑥外くるぶしの6ポイントの左右を結んだ線が一直線になっていることが理想です。
SIDE
①耳、②大転子、③ヒザのやや前方、④外くるぶしの4ポイントが一直線。壁に体をつけて直立したときに、①後頭部、②肩甲骨付近、③お尻、④カカトの4ポイントがつくことが理想です。
3つのタイプに合わせたエクササイズで猫背を効率的に改善
猫背とひと口に言っても、いくつかのタイプがあり、対処法も少々変わってきます。ここからは、猫背の3つのタイプと対処法をご紹介していきましょう。自分がどのタイプかをチェックしてそれに合わせたエクササイズを行うと、より早く効果を実感できるはずです。
TYPE1 ぽっこり下腹部、後ろ重心型「猫背+骨盤後傾タイプ」
もっとも多いと言われるタイプです。背中の上部が丸まり、首が前に突き出て、下腹部がポッコリと出たシルエットになります。体重が後ろにいきやすくなり、そのバランスをとるため、首が極端に前に出たような姿勢になることが多いことも特徴です。カカト寄りに体重をかけるクセがある、あぐらをかくことが多い、背もたれに寄りかかってイスに座る、机に両ヒジをついて前かがみでPCを操作するといったクセがある人、スマホを長時間操作するという人は要注意です。
改善エクササイズ
腹筋&上背部の筋力の低下を改善するためのエクササイズを中心に行いましょう。
背筋
10回×3セット
うつ伏せになり、両腕、両脚をまっすぐにしたまま肩幅程度に開く。その状態のまま、3秒かけて息を吸いながら背中を反らしていく。反らし切ったら、6秒かけて息を吐きながらゆっくりと元の状態に戻す。腰に痛みがある人は痛みを感じないところまででストップ。反らしすぎは腰を痛めるので注意。
シットアップ
10回×3セット
仰向けに寝て、胸のあたりで手を組み、ヒザを曲げる。そのまま背中を丸めて、背骨のひとつ一つをゆっくりと床から離していくようなイメージでゆっくりと息を吐きながら上体を起こしていく。上体を起こし切ったら、ゆっくりと息を吸いながら体を元に戻す。
TYPE2 お尻まわりの筋力低下型「猫背+反り腰タイプ」
一見、背筋がピンとしたよい姿勢に見えますが、じつは背骨のS字カーブがきついタイプの猫背です。壁に背中をつけると背中と壁の間の隙間が非常に大きいことが特徴です。通常は背中と壁との間の隙間は手1枚分程度ですが、それ以上隙間が空き、さらに下腹がポッコリ出ているようなら、このタイプの猫背であることが考えられます。また、お尻がタレ気味の人もこのタイプの人が多いようです。このタイプの姿勢の人は、お尻の筋肉が弱い傾向にあります。また、脊柱への負担が大きいため、背中や腰に痛みが出たり、胸が開きにくくなり、深い呼吸をしにくくなることもあります。ハイヒールを履くことが多い人もこのタイプの猫背に陥りやすいので注意しましょう。
改善エクササイズ
腹直筋を鍛え、胸を大きく開き、骨盤を前傾させるエクササイズをメインに行いましょう。
ツイストクランチ
左右各10~20回×2~3セット
仰向けになり、片手は頭の下に、反対側の手は体の横に置いて手のひらを床につける。ヒザを90°に曲げて、体の横に置いた手のほうの脚を反対側のヒザの上にのせる。
息を吐きながら背中を丸めるように体をひねり、対角になるヒジとヒザを近づける。上体がもっとも上がったときに息を吐き切る。吐き切ったらゆっくりとスタートポジションに戻る。
深呼吸
10呼吸
両脚を肩幅程度に開き、背すじをまっすぐにしたまま立つ。つま先を外側に向ける。その状態をキープして、Yの字を作るようなイメージで両腕をまっすぐ上へと上げていく。腕を上げた状態で3秒かけて鼻から息を吸い、6秒かけて鼻から息を吐くことを繰り返す。できるだけ深い呼吸になるように心がける。
TYPE3 下半身の痛み頻発の猫背型「平背タイプ」
日本人に非常に多いといわれるタイプです。タイプ2の猫背+反り腰タイプとは逆に、背骨のS字カーブがほとんどなくなった状態になってしまっています。背中がまっすぐで、猫背の状態はタイプ1よりは弱めです。背骨はS字カーブを描くことで重力を分散しているため、重力の影響を受けやすく、腰など、体重を支える要となる部分、下半身に痛みなどのトラブルが発生しやすいことが特徴です。ガニ股で歩く人はこの姿勢に陥りやすいと考えられます。
改善エクササイズ
背中まわりの筋力を強化することが効果的です。とくに背中の下部にある筋肉である脊柱起立筋、骨盤まわりにある腸腰筋を鍛えるエクササイズを中心に行いましょう。
ブリッジ
10回×3セット
仰向けになり、両手を腰のあたりに置き、手のひらを床につける。手のひらで体を支え、ブリッジを作るイメージで腰をゆっくりと持ち上げていく。腰を上げ切ったところで鼻から3秒かけて息を吸い、6秒かけて息を吐く。吐き切ったら腰をゆっくりと元に戻す。
モモ上げ
10回×3セット
背すじを伸ばしてイスに座る。ヒザを90°程度に曲げたまま太モモをゆっくりと上げていく。このとき、骨盤が前傾していることを意識しながら、太モモを上げていき、上げ切ったところで鼻から3秒かけて息を吸い、6秒かけて息を吐く。吐き切ったら脚を元に位置に戻す。立位で行ってもOK。ヒザを曲げる角度を大きくすると負荷を高めることができる。
筋肉の硬さをとる!猫背改善ストレッチ
筋トレを行ったら、必ずストレッチも行う習慣をつけましょう。ここからは、猫背でとくに硬くなりやすい、肩甲骨まわりや背中の筋肉を一気にほぐせるストレッチをご紹介します。
エルボーサークル
内外各5回×2~3セット
両脚を腰幅に開き、背すじを伸ばしてまっすぐ立つ。両手をそれぞれの肩に置く。肩から手が離れないように気をつけて、両ヒジを内側から回すように引き上げる。肩を中心にして、ヒジを外側に回す。このとき、体が前後左右にブレないように注意。外回しを5回行ったら、今度は同じ要領で内回しを5回行う。
ダウンドッグ
10~20キープ×3セット
両手を肩幅よりやや広めに開き、両脚は肩幅に開いて四つん這いになる。背すじを伸ばし、後頭部からお尻までが一直線になるようにしてスタンバイ。
息を吐きながらゆっくりとお尻を持ち上げる。重心はお尻にあることを意識し、背中は反らせすぎない。手からお尻、お尻からカカトまでが一直線になるように。
<監修>
澤木一貴(さわきかずたか)
パーソナルトレーナー。パーソナルトレーニングジム「SAWAKI GYM」代表取締役。1991年から、大手フィットネスクラブにてトレーニング指導を開始。その後、整形外科病院にてスポーツトレーナー課主任を歴任、メディカルフィットネス現場におけるリハビリ後の患者からトップアスリートに及ぶ、幅広いクライアント層へのトレーニング指導を経験する。現在は新宿区早稲田にパーソナルトレーニングスタジオをかまえ、指導にあたるかたわら、メディアや講演会を通じて健康情報を発信している。「1日3分 痩せトレ」(枻出版社刊)、「ランナー筋トレ」(枻出版社刊)、「衰えた体がよみがえる 最高最善の運動」(大和書房)など、監修・著者本も多数刊行している。
SAWAKI GYM⇒https://sg-personal.com/
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