【ヨガポーズの基礎と応用】正しいアライメントでヨガポーズをとろう!
YOLO 編集部
- 2021年02月15日
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ヨガポーズの効果を引き出すために
ヨガのポーズは、私達の心身にさまざまな恩恵をもたらします。せっかく練習をするのなら最大限に効果を得たいですよね?そのためには、体を支える骨格が適切な位置にあり、土台がしっかり安定している正しいアライメントでポーズを取ることが重要です。
骨格が正しく配置された安定した土台があるからこそ、骨に付随する筋肉も正しい方向に動かせ、効果が高まるだけではなく、ケガの防止にもつながります。
人間の骨格は、背骨を中心に左右対称の構造をしています。その要となる「中心軸」を意識しながら、相反する力で引き合うように動く(=牽引)ことによって、バランスの取れたアライメントを実現することができます。
牽引の感覚によって体のバランスが取れると、胸がきちんと開かれ、自然と呼吸を深めることができる上に、左右の偏りが矯正され、「一人整体」とも言えるポーズの効果が存分に発揮されるのです。
柔軟性は人によって異なりますが、 正しく効果を得るために、まずは体の基本的な動きをしっかり学ぶことが重要です。完成ポーズの目的を正しく理解し、体で覚えていきましょう。ここでは、タイプ別に代表的なポーズを例に取って、組み立て方、ポイントを解説していきます。コツを押さえれば今日から練習の質も変わるはず!
ヨガポーズ1:山のポーズ
ポーズの基本となる正しいアライメントは、基本の立ち姿勢、山のポーズ(ターダーサナ)から始まります。体の細部に意識を向け、動き一つひとつを丁寧に感じることで、本来あるべき体の使い方も理解しやすくなるはず。中心軸が通ったまっすぐな姿勢でしっかり足を踏み締めれば、心と体に安定感を得ることができます。繰り返し練習して、その感覚をしっかりと身につけましょう。
1:両脚をしっかり合わせて立ち、手を腰に当てて左右の腸骨(腰の両端にあるゴリゴリした部分)の高さをそろえます。両足の内側も合わせていったんつま先を上げ、カカトに体重をのせましょう。
2:足指をしっかり開き、マットを踏み締めるように下ろしていきます。足裏それぞれに四つの車輪があるイメージで、全体へ均等に体重をかけます。
3:ヒザをいったん軽く曲げ、脚のつけ根に大腿骨頭(脚のつけ根から膝まで続く太モモの骨の先端部)を差し入れたら、太モモを引き上げて伸ばしていきます。この時、尾骨(しっぽの骨)を内側に入れて骨盤を立てつつ、そけい部は内側から開くように意識しましょう。
4:肩と背中の僧帽筋を後ろに回しながら下ろします。首は長く保ちつつ、肩甲骨を引き寄せるように胸を開いて胸骨を引き上げましょう。ただしお腹は締めたまま、浮肋骨(肋骨の下部)が出ないように注意! 安定してまっすぐな自分の軸を感じたら完成です。
ヨガポーズ2:三角のポーズ
立位の基本ポーズですが、両脚のスタンスが広すぎて横軸のバランスを崩すケースが多いです。すると体側がきちんと伸びないばかりか、胸やそけい部が開かずにポーズの効果が半減してしまいます。改善のポイントは、股関節に大腿骨頭をはめ込む(=suck in)動き。両脚で体重をシェアする感覚が生まれ、安定した土台が作られます。
1:山のポーズ(ターダーサナ)から両脚を開き、左のつま先をやや内側、右は90度外側に。さらに両手を水平に上げ、胸の中心から左右に大きく広げましょう。
2:手のひらを上向きに返したら、両腕を耳横まで持ち上げます。体側ごと両手を引き上げる意識で、垂直方向の体の伸びを感じます。
3:左手を腰に当てたら、息を吸いながら、上げた右手をググッと伸ばして体側をさらに引き上げます。
4:息を吐きながら上体を右に倒し、右手は床、もしくはスネ、足首などヒザ以外の添えやすい場所に置いてもOK。左手は腰に置き、肩を後ろに回して横軸を取ります。大腿骨頭が股関節の中に入り安定するのを感じましょう。
5:背中から左手を回して前脚のつけ根を持ちます。上体は下腹部から回転し、脊柱を中心として胸を開きましょう。
6:両手が床に対して垂直になるように、左手を上に伸ばします。背骨と頸椎を一直線にし、頭をゆっくり回転させて上方を見ます。後ろ足は土踏まずのアーチを引き上げ、体重を両脚へ均等にかけたら、尾骨を入れてそけい部を開き、お腹は軟らかく保つように意識。反対側も同様に行いましょう。
ヨガポーズ3:ダウンドッグ(下向きの犬のポーズ)
太陽礼拝にも登場し、ヨガのポーズの中でも最も頻出するポーズと言えばダウンドッグ。ヴィンヤサのフローの中で、つなぎとして使われることも多く、背骨をしっかりと伸ばすことで、全身をストレッチする効果が高まります。簡単に見えて、腰が伸びていなかったり、肩の関節が詰まって呼吸が浅くなっていたりと意外と難しいポーズでもあり、心地よく全身に呼吸がめぐるよう丁寧にポーズを組み立てましょう。
1:両ヒザをマット幅に開き、両手を歩かせて前に伸ばします(カップ型で指を立てるとワキが気持ちよく伸びます)。お尻をカカトに下ろしてお腹にスペースを作り、腰の伸びを感じましょう。
2:息を吸いながら上体を起こし、両手の手根骨(手のひらの根本の部分)を床に着けます。ここからつま先を立て、ダウンドッグに入る準備をします。
3:手根骨で床を押しながら、股関節を引き込む意識を持ちながら、座骨を天井に向かって引き上げていきます。背中の広背筋が伸ばされていくのを感じましょう。
4:息を吐きながらカカトをゆっくり下ろし、前モモの大腿四頭筋を大腿骨に向かって押していくイメージ。頭と首は力を抜き、首から離すようにそっと下ろします。
ADVICE:カカトを床で押す感覚をサポート
カカトが浮いたり、ヒザが曲がると効果が半減してしまいます。両手のひらの下にブロックなどを入れ、高さを出すとカカトが自然に下ろせ、腰が伸ばせます。そこからさらに強く床を押すことで、ワキから背中、足裏も伸ばせ、ポーズの効果を最大限得ることができます。
ヨガポーズ4:杖のポーズ(長座)
すべての座位の基本となるこのポーズは、座骨を床にしっかり着け、中心軸をしっかり作るのがポイントです。共通するのは、山のポーズ(ターダーサナ)の体の使い方。胸を引き上げて背骨を伸ばし、脚のアライメントも意識しましょう。カカトを押し出すと脚の後ろ側が伸ばされ、足裏のマウンドを押し出すと前側の筋肉も伸ばされます。
1:脚を伸ばしてお尻の肉を手で外側に寄せ、座骨で座ります。お腹を引き入れて、仙骨が床に垂直になるように腰を立てます。
2:太モモは床に近づけるように伸ばし、 カカトを押し出して下半身の土台を作ります。
3:肩を後ろに回して首〜肩の僧帽筋を下げ、手は床に着けて指先を前にピンと伸ばしましょう。
ADVICE:プロップスで 高さを出し、引き上げ力を身につける
腰がうまく立たない場合、折り畳んだブランケットをお尻に敷いて座ると◎。さらに後ろにブロックを置いて手を着け、胸を引き上げることで腰椎を伸ばす感覚をつかみましょう。
ヨガポーズ5:長座前屈
英語では前屈を「forward extension」と呼び、本来は背骨を前へ引き上げて伸ばす動きを目指す動きです。そこで行うのが、腰椎を立てつつ背骨を体の中に入れるようなイメージで、猫背になりがちな肩甲骨の間を凹ませる動き。前屈の前にこのワンステップを加えると、背中から前に伸び上がった理想的なアライメントが実現します。
1:杖のポーズから、人さし指と中指で両足の親指を持ちます。吸う息で背中を凹ませながら、特に椎骨〜肩甲骨まわりの背骨をしっかり伸ばすように意識しましょう。
2:足裏の外側に手を移しかえてつかみ、息を吐きながら、首と上体を伸ばして前屈を深めます。両ヒジを左右に開いていくと背骨がさらに伸び、背中と胸が開かれることによって呼吸が深まる効果も。
ADVICE:ポーズの効果を引き出す プロップスの使い方
背中が丸くなってしまう場合、畳んだブランケットを座骨の下に敷くと腰が伸びやすいのでオススメ。手が届かない場合は、二重にしたベルトを土踏まずにかけて引き合うと脚がしっかり伸びます。プロップスを使って、背中は常にまっすぐをキープして効果を最大に引き出しましょう!
ヨガポーズを通して自分の体を観察しよう
いかがでしたか?ポーズを一つひとつ丁寧に見ていくと、シンプルに見える動きの中に効果を引き出すための工夫がいっぱい詰まっているのです。
ヨガのポーズは形を作るのが目的ではなく、ポーズを通して体をしっかりと適切に使い、それによって得られる効果で心身を健康な状態に導くこと。
まずは、自分がポーズを取っている時、適切なアライメントで体をしっかり使えているか内観してみましょう。意識を向けてみると、意外に骨盤が倒れていたり、背骨が丸くなっている状態でポーズを取っているかもしれません。
場合によってはプロップスを効果的に使い、今の自分の体に合わせてポーズを工夫することで、効果を高めることができるでしょう。ぜひ今日からの練習に生かしてみてくださいね!
教えてくれた人
柳生直子
やぎゅうなおこ。’80年、日本人で初めてインドのプーナでアイアンガーヨガを学ぶ。その後もヨガの研鑽を積む一方、TVの海外取材番組やCNNのニュースキャスターとしても活躍。アイアンガーヨガ上級指導員。
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