プールの肌荒れや髪へのダメージってどうなの?気になるトラブル&ケアの正しい知識
YOLO 編集部
- 2022年08月14日
プール(スイム)を始めたいけど始められない人の悩み、それは肌や髪のトラブルや、スイムアップ後のアフターケアです。ちまたでよく聞く噂のなかには、じつは間違ったイメージや古い情報がたくさんあります。そこで、プロのインストラクターに、プールに関する正しい知識と対処法を教えていただきました。
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- 【教えてくれたスイマー】
田中千代実(たなか ちよみ) - 日本スポーツ協会の水泳コーチの資格を持つ、指導歴30年以上のインストラクター。日本水泳連盟では生涯スポーツ委員を務め、自身も“マスターズスイマー”として大会に出場するのが趣味。スイム大好き!まさにプール漬けの日々!?
プールのホント1|髪は痛む?痛まない?
多くの方が知っていることかもしれませんが、プールには消毒のために塩素が使われています。「塩素の入ったプールの水が、肌や髪にとって悪影響になるのでは?」と心配になる人もいることでしょう。実際、これはホントなのでしょうか?
「髪が痛む」はもはやウソ!?
学生時代などで、水泳部や水泳選手から「プールの消毒用塩素で髪が茶髪になる」という話を聞いたことがあるかもしれません。
ひと昔前、学校のプールで使われていた“白いタブレット”=次亜塩素酸カルシウムの錠剤は、塩素濃度の管理が難しいものでした。屋外プールで紫外線を浴びながら、塩素濃度が不安定な水に長時間入っていれば、髪が痛んでしまうのも当然ですね。
でも、いまやこれは特殊な例です。もし「プールの塩素で髪が痛む」とイメージして、プールに行きそびれているとしたら……それはとてももったいない!
水質管理は飲料水に匹敵!
現在、ジムや公共施設のプール水の消毒は、次亜塩素酸ナトリウムが主流です。じつはこれ、私たちの水道水にも使われています。水道水の塩素濃度は0.1mg/L以上、プールの塩素濃度は0.4mg/Lで管理されていて、水道水と比較してもプールの塩素が特別に高いということはありません。
プールの水質管理は施設サイドの生命線でもあるので、残留塩素濃度検査は数時間おきに行われています。ですから、プール水はシャワーで洗い流せば問題ありません。実際、毎日プールで泳いだり仕事をしている私自身やコーチ仲間も、髪のトラブルでとくに悩んでいるということはないのです。
プールのホント2|肌はキレイになる?ならない?
スイマーは、「肌がキレイですね」とよく言われます。私は水泳ライターとしてトップ選手からマスターズ選手を多く取材してきましたが、老若男女問わず、美しい肌の人が多いと感じています。
プールフィットネスやスイムが、美肌に効果的な理由を上げてみましょう。
全身を使う有酸素運動効果
スイムは全身の有酸素運動で、しかも浮力のおかげで筋肉や関節に過度な負担をかけずに行えます。全身の血行やリンパの流れがよくなり、毛細血管が強くしなやかになることで、肌への栄養がいきわたりやすくなります。
水の刺激(マッサージ・水温)効果
プールの中で体を動かすと、水流や波動、泡などが肌に程よい刺激を与え、マッサージ効果が得られます。また、体温より低い水温により刺激が起こり、肌が引き締まります。
洗浄効果
スイム中は、殺菌力のある弱酸性のプールの水がやさしく肌を撫で続けているようなもの。吹き出物の原因となる菌が洗い落とされ、さらに発汗と水流によって毛穴の老廃物も流されるので、トラブルが少ない肌をキープできます。
人為的呼吸効果
スイム中は、息を「吸う,吐く」を意識的に行います。ヨガや瞑想の人為的呼吸と同じこの意識的な呼吸は、自律神経を整えるのに役立ちます。また、心肺・循環機能を向上させることで血行を促進し、細胞の代謝が高まり、肌の新陳代謝もよくなります。
水のリラックス効果
プールにプカプカと浮くだけで、じつは心がリラックスします。体験したことがない人は信じないかもしれませんが、ホントですよ(笑)。
水圧によって血管が圧迫され、浮いて水平姿勢になることで副交感神経が優位になるからです。「スイムの後はよく眠れる!」と言う人は多いですが、ストレス解消は美肌にも通じますし一石二鳥ですね。
プールのホント3|スイム後にケアする?しない?
スイムが肌にとってたくさんのメリットがあることがおわかりいただけましたでしょうか?しかし、よりキレイに楽しくプールライフを過ごすためには、スイム後のケアも忘れてはいけません。
スイム後の肌は、みなさんが思っているよりもデリケートになっています。しかし、ちょっとした心がけだけで、キレイな美肌を手に入れることができます。
水にふやけた肌を傷つけない
スイム後の肌は柔らかく傷つきやすくなっているので、手指での摩擦も含め、できるだけ強くこすらないようにしましょう。タオルもソフトなもの選ぶのがおすすめですね。
乾燥対策は素早く
プールから上がって濡れた状態でいると、保湿力が低下します。肌を傷めないようやさしく水分をふき取り、なるべく早くスキンケアを行いましょう。
洗いすぎに注意を
スイム後の肌は、前述したようにすでに殺菌された状態と言えます。強く洗いすぎたり、洗浄力の強い石鹸などを使ったりするのは控えましょう。塩素が気になる人でも、シャワーで洗い流すだけで十分です。
プールのホント4|ストレッチする?しない?
プールで水中ウォーキングやアクアエクササイズをする前には、必ずしも準備運動をする必要はありません。いきなり激しいエクササイズをせず、ゆっくりとしたウォーキングから始めて、少しずつ心拍数を上げるようにすれば問題ないといわれています。
水中エクササイズは、じつは陸上運動のウォーミングアップやクールダウンに利用されることもあるくらいで、筋肉や関節にやさしいエクササイズと言えます。ですから、スイムでトレーニングする際のウォーミングアップとしても、水中ウォーキングはおすすめです。
静的ストレッチよりも動的ストレッチが正解
ウォーミングアップには、静的ストレッチ(反動や弾みをつけずに筋肉をじわーっと伸ばす)よりも、動的ストレッチ(反動を利用してリズミカルに筋肉を伸ばす)のほうが筋温を上げることができるのでふさわしいでしょう。逆に、スイム後のクールダウンでは静的ストレッチがおすすめです。
でも、あまり難しく考えなくても大丈夫です。仕事や家事、子育てなどで凝り固まったり、気になったりする筋肉や関節をプールに入って心地よく動かす!そんな感じから始めてみてください。
プールのホント5|こんなトラブルにあったときは?
最後は、初心者やはじめてプールに入った人が起こしやすいトラブルについてです。慣れない水のなかでは不安も多いですが、正しい知識と対処法を知っておくだけで、気持ちに余裕が生まれます。怖がらずに、むしろ楽しむくらいのポジティブシンキングで、いざ入水です!
足が攣った……!
足先やふくらはぎが突然攣って、痛い思いをした経験はありますか?スイム中に起こった場合は、焦らずプールサイドやコースロープにつかまり、攣った筋肉をゆっくりと伸ばして、痛みが引くのを待ちましょう。プールサイドに上がることができれば、その方が伸ばしやすいのでおすすめです。また、温かいシャワーやお風呂で温めるのも効果的です。
足が攣る原因は、
- 水分不足
- 血行不良
- ミネラル不足
ということが考えられます。水分や栄養をしっかり補給し、ストレッチなどで対策を立てましょう。
のどが渇いた!
プールに入っていると、じつは「のどの渇き」は感じにくくなります。さらに、水中にいると汗をかいていることも気づきにくいので注意が必要です。
実際、運動量の多いスイムフィットネスではしっかり汗をかいています! 水いっぱいのプールにいても、脱水症の危険は大いにあるのです。「のどが渇いた」と感じる前に定期的に水分補給をするか、こまめに少しずつ飲むようにすることがポイントです。
耳に水が入った!
耳に水が入って聞こえにくくなったり、プールから上がった後もギュルギュルと耳の奥が鳴って気持ち悪かったり……プールに入ったことがある人であれば、きっと経験がありますよね。
でも、スイマーに聞くと、「あまり気にしないで放っておけば自然に抜ける」と言う人が多いですし、耳鼻科のドクターも「綿棒で触り過ぎるのはおすすめしない」と言います。
じつは、スイマーがよくやっているのは、「あえて指先から数滴の呼び水を耳に入れ、その状態で頭を振って水を出す」と言う方法。もし耳に水が入ってしまったとき、ぜひ思い出してやってみてください。
ゴーグルが曇った!水が入った!
ゴーグルが曇った時の対処法は、レンズを一度水に濡らすのがもっとも簡単な方法です。ちょっと小慣れた人なら「レンズの曇り止め液」を使用する、という選択肢もあります。まれに「レンズに唾をつけて擦る」という原始的な方法で乗り越えるオジサマがいますが……美しいレディは真似しないように!
また、ゴーグルに水が入ってくることもあります。基本的にはストラップをきつくすることで対処できますが、鼻の部分の長さや高さを調節することでも改善できる場合がありますので、ゴーグルを見直してみましょう。
また、ゴーグルのレンズの形や大きさは、メーカーやモデルによってさまざまです。できるだけショップで実物をかけてみて、自分の顔(骨格)に合ったものを選びましょう。
水を飲んでしまった!
不意に気管支に水が入ってしまい、苦しくてパニックを起こしてしまう人もいるでしょう。そうはなりたくありませんが、もしなったとしてもすぐに危険になることはありませんので、慌てないことがポイントです。
慌てて息を吸おうとすると、かえって苦しくなることもありますから、、むしろ思いっきり咳払いをしましょう。足が着かないところで水を飲んでしまった場合は、仰向けになって浮いて呼吸を確保します。少し経てば、きっと呼吸は落ち着きますよ。
正しい知識できみらしいプールライフを
初心者にとってさまざまなハードルがあるプールですが、ちゃんとした知識さえあれば怖いものではありません。むしろ、心も体も健康的になって、さらにキレイにもなれるすばらしいフィットネスですよね。少しでも気になった人は、ぜひプールに足を運んでみてくださいね。
“自分らしい”プール&水着を知りたい!という人は、こちらの「スイマー診断」をチェックしてみて。
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