メンタル・運動機能にも必要な「カルシウム」の多彩な働きとは?
YOLO 編集部
- 2024年01月16日
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「カルシウム」は丈夫な骨や歯を作るほか、多くの機能に欠かせない
カルシウムといえば骨の材料。オギャーと生まれてから今まで、コツコツカルシウムを取り入れて骨を成長、維持させてきたからこそ、今の体はしっかりと支えられているのです。でも、カルシウムには骨を作る以外にも重要な働きがあるのをご存じですか?スポーツや筋トレに励むアクティブ女子、ストレスと戦いながらバリバリ働く人、更年期が気になるアラフォー女性も必見!カルシウムの働きをチェックし、賢い摂り方を身につけましょう。
「カルシウム」の主な働き
1.骨や歯を作る
体内に取り入れたカルシウムは、骨や歯の材料となります。これが体内のカルシウムの99%を占める「貯蔵カルシウム」。生まれた時から毎日コツコツ、カルシウムを材料に骨や歯が作られ、成長していきますが、完成した骨は無機質な塊ではありません。皮膚や筋肉と同じように代謝を繰り返している生きた組織。日々、新しい骨の組織を作る「骨形成」と古くなった組織を分解する「骨吸収」を繰り返して丈夫な骨を維持しているのです。
2.脳の神経伝達
骨や歯の主成分になる「貯蔵カルシウム」以外のカルシウムは、血液や筋肉に存在する「機能カルシウム」と呼ばれます。機能カルシウムは、血液中を巡り、細胞に運ばれて生命維持に関わる重要な役目を果たします。脳内の神経細胞が正常に情報を伝達するためにもカルシウムは不可欠。たとえ健康な体があっても、体内に十分なカルシウムがないと脳は情報を正常に伝達することができなくなり、自律神経が乱れ、イライラしたり落ち込んだり、感情のコントロールがうまくできなくなるケースもあります。
3.筋肉を動かす
脳と同様、筋肉細胞における情報伝達にもカルシウムは不可欠。筋肉細胞にシグナルを送り、筋肉を収縮させて運動をする働きを担っているのはカルシウムなのです。つまり、私たちは、カルシウムなくして1ミリも体を動かすことはできないのです。
4.血液を固まらせる
ケガをした時などに血液を固まらせて出血を止める血液凝固にも、カルシウムは欠かせません。いざという時に命を守るための重要な役目といえるでしょう。
「カルシウム」が不足すると…
カルシウムは腸で吸収されて骨に届けられますが、すべてが吸収されて骨になるわけではありません。食品によってカルシウムの吸収率は異なり、吸収率が高いとされる牛乳や乳製品で約50%にとどまります。骨ごと食べられる小魚でも吸収率は約30%、小松菜などの青菜はカルシウムを含んではいるものの吸収率は約20%。摂っているつもりでも、思ったほど吸収されていないケースが多いのです…。
カルシウムは先に解説したとおり、骨や歯の材料になるだけでなく、神経伝達や運動など、体の機能を正常に働かすために欠かせません。カルシウムが足りない状態は、生命にとって危機的状況。体の機能を維持させるため、骨にあるカルシウムが分解されて血液中に溶け出します。その結果、骨の密度は低くなりスカスカになる「骨粗しょう症」になり、少しつまずいたり、ぶつけただけで骨折したり、ひどくなるとくしゃみをするだけで骨が折れた…というケースも。
さらに、カルシウム不足が長く続くと、神経伝達が正常にできなくなり、ストレスに弱くなったり、筋肉の運動機能が低下するなどのリスクも高まります。
カルシウムは「天然の精神安定剤」。神経が過敏になって眠れない日が続いたり、イライラしたり落ち込んだり…という日が続くようなら、カルシウム不足を疑い、強化してみるとよいでしょう。
一日に必要な「カルシウム」摂取量は?
成人女性の場合、
カルシウムの摂取推奨量は一日650mg
とされています(「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)。
これは牛乳にすると約3カップ、ヨーグルトなら約550g、イワシの丸干しなら約5尾を食べなければならない量です。日本は土壌、水にカルシウムが多く含まれていないため、欧米に比べてカルシウムが不足しがち。
「カルシウム」を含む主な食材
牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品は吸収率がよい優秀なカルシウム源。丸ごと食べられる小魚、小エビも意識して取り入れましょう。小松菜、チンゲンサイ、モロヘイヤなどの青菜、大豆食品は、吸収率が低めですが、カルシウム以外にも体に欠かせない栄養素が含まれるので、こまめに取り入れましょう。
食品(一食目安)のカルシウム含有量
・牛乳(1カップ):231mg
・プロセスチーズ(20g):126mg
・ヨーグルト(1/2カップ):120g
・カマンベールチーズ(20g):92mg
・ワカサギ(4尾70g):315mg
・イワシ丸干し(2尾60g):264mg
・干しエビ(3g): 213mg
・シシャモ(2尾50g):165mg
・ちりめんジャコ(15g):78mg
・モロヘイヤ(100g )260mg
・大根の葉(100g):260mg
・小松菜(80g1/3束):136mg
・菜の花(60g1/3束):96mg
・チンゲンサイ(80g1束):80mg
・いりごま(10g):120g
・木綿豆腐(150g): 129mg
・焼き豆腐(100g):150mg
・「日本食品標準成分表2020年版」より
「カルシウム」の効果的な摂り方
カルシウムは一度にたくさん摂ったからといって、それを蓄えておくことはできません。日々の食事でコツコツと取り入れることが大切です。毎日欠かさず、カルシウムを多く含む食品を食べるよう心がけましょう。
まずは、吸収率が高い牛乳や乳製品を取り入れるのが理想的。牛乳のカルシウム吸収率が高いのは、牛乳に含まれる乳糖、アルギニンなどのアミノ酸、カゼインなどが吸収を促すからだと言われています。小魚は吸収率約30%とまずまずですが、丸ごと食べる小魚には内臓に含まれるビタミンDが含まれており、これがカルシウムの吸収を高めてくれるので、丸干しのイワシやシシャモ、ジャコやシラス、サクラエビ、ワカサギなどがおすすめです。
小松菜、チンゲンサイ、モロヘイヤ、菜の花、大根の葉といった青菜、切り干し大根、豆腐や納豆、きなこなどの大豆食品にもカルシウムは比較的多く含まれています。ただし、植物性食品にはタンパク質やビタミンDが少なく、吸収率が低いのが欠点…。
吸収率を高めるためには、クエン酸を含むレモンや酢などを合わせて摂ると効果的です。例えば、納豆に少し酢を加えたり、青菜のお浸しを三杯酢やポン酢で作るのもいいアイデア。いりゴマにもカルシウムが含まれるので、仕上げにゴマをふりかけるのもカルシウム強化につながります。
また、体の中では、内臓や自律神経、ホルモンの分泌などがそれぞれのリズムで働いています。こうした体のリズムと栄養をテーマにした「時間栄養学」によると、カルシウム摂取のゴールデンタイムは夜。朝より夜のほうが、体内でのカルシウムの吸収利用が高まるため、夕食で乳製品や小魚を摂るのは大正解!
睡眠中には成長ホルモンの分泌が高まり、骨の合成も促進されます。タンパク質と一緒にカルシウムを摂れば骨の強化はもちろん、筋肉のメンテナンスにも有効です。
骨の強化を意識するなら、カルシウムだけでなく、マグネシウム、リン、ナトリウム、亜鉛などもバランスよく取り入れることが大切。カルシウムを含む食材に偏らず、野菜、海藻、肉、魚介類も合わせて摂るよう心がけましょう。
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写真:藤村のぞみ食材写真)
ライター:藤岡操(栄養士)
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