身体に溜まる毒素って一体どんなものなの?!デトックスのススメ
YOLO 編集部
- 2024年11月18日
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日常生活で溜め込みがちな毒素をデトックスしよう
人は、食事や呼吸を介してさまざまな有害物質(毒素)を取り込んでいます。これら有害物質は、細胞に直接的なダメージを与え、老化を進行させ、深刻な疾患を引き起こすことさえあります。ここで必要となるのが、有害物質をすみやかに体外に排出させるデトックスを行うこと。これがアンチエイジングや、病気予防につながるのです。そこで、デトックスの効果的なやり方や食品などを管理栄養士の篠原絵里佳さんに教えてもらいました。
デトックスとは?
デトックスとは、体に取り入れてしまった有害物質や毒素を排出するという意味です。では、具体的にどのような物質が私たちの体に取り入れられると悪さをするのでしょうか?
呼吸で取り入れられる有害物質の代表格は、排気ガス、工場からの排煙です。また、食事から取り入れられる、食品添加物、農薬もすみやかに排出すべき有害物質です。驚きなのは、体内でもつねに有害物質は作られているというところです。たとえば、未消化の食べ物カス、死んだ腸内細胞、新陳代謝の過程で産出される老廃物も、ときには体に害を及ぼす有害物質を発生させるのです。
デトックスにはどんな効果があるの?
デトックスを行うメリットは数えきれません。たとえば、頭痛、慢性疲労、肥満、ヒフ障害、不眠、イライラ、食欲不振、うつ、免疫力の低下、老化、認知症など、あげればキリがないほどの体調不良を予防・改善できるのです。
とくに、ダイエットとデトックスには深い関係があります。体内に有害物質が溜まると、代謝が低下します。すると、食事で摂取したカロリーを効率的に消費することができなくなってしまいます。その結果、食事制限をしても体重が落ちにくくなってしまいます。
さらに有害物質が溜まり続けると、腸内環境が悪化して、ダイエットの敵である「便秘」になりやすくなります。便秘になれば、食品から取り込んだ毒素や、未消化の食べ物カス、死んだ腸内細胞などの排出ができなくなってしまいます。この状態に陥ると、さらに代謝は落ち、ますますヤセにくい体質へとなっていきます。このような悪循環を断ち切るためにも、デトックスを行うことはとても大切であることが理解できると思います。
ここで、デトックスすべき有害物質をご紹介します。具体的にどのようなものが体に害を及ぼすのかを知っておけば、体に取り入れる毒素の量を最小限に抑えることができるはずです。
主な有害物質・毒素は?
有害ミネラル
水銀、ヒ素、アルミニウム、鉛、カドミウム、ニッケル、スズなどの重金属。環境汚染や農薬、食品添加物、食器にいたるまで、さまざまなものから取り入れられる有害物質は、有害ミネラルと呼ばれています。体内から排出されにくく、蓄積されやすい、恐ろしい有害物質です。有害ミネラルが溜まると新陳代謝が次第に低下し、免疫力が低下します。また、体のコンディションを整えるミネラルの働きを妨げることも知られています。
【有害ミネラルを含むもの】
タバコの煙、排気ガス、大型の魚、汚染された魚介類、農薬、化粧品、アマルガム(銀歯)、殺虫剤、除草剤、メッキ金属、アルミ鍋、アルミホイル、歯磨き粉、胃腸薬
活性酸素
活性酸素とは、呼吸で取り込んだ酸素が体内で電子と結びつくことで、非常に有害な物質に変異したものです。体を酸化させることから、サビにたとえられることもあります。細胞膜を破壊して細胞内に侵入し、遺伝子の基「DNA」を直接攻撃して、突然変異の遺伝子を作り出します。その結果、老化が進行し、血管がもろくなったり、がんなどの重篤な病気にかかるリスクが高まります。
【活性酸素を発生させる要因>
心身へのストレス、紫外線、食品添加物、大気汚染、電磁波、喫煙
悪玉菌
悪玉菌は、腸にすみつく菌で、腸内環境を乱して体にさまざまな悪さをします。また、腸は免疫を司る臓器のため、悪玉菌が増えると免疫力の低下が顕著になり、風邪をはじめとした感染症にかかりやすくなります。さらに、悪玉菌自体が毒素を出して肝臓や腎臓に大きなダメージを与えることが、最近の研究により明らかになっています。
【腸内環境を乱す要因】
偏食、肉の食べすぎ、心身のストレス、生活リズムの乱れ
冷えと水分不足は、デトックスの大敵
デトックスを促すために必須となるのが、汗です。ただし、汗から直接的に有害物質が排出されるわけではありません。では、なぜ汗がデトックスには欠かせないのでしょうか?それは、汗をかかないと新陳代謝が低下するからです。新陳代謝が滞ると、有害物質を排出する働きをもつリンパの流れが滞り、有害物質が体内の至る所に滞留することに…。
また、汗をかかないと自然と水分摂取量も減ってしまいます。すると、尿の量も減少して有害物質が排出されにくくなります。じつは、尿は有害物質を排出するうえで非常に重要で、体内の毒素の約20%は尿から排出されるといわれているのです。
冷えも大敵です。体が冷え、体温が低下すると内臓の機能も低下します。それにともない、解毒を司る肝臓や腎臓、老廃物を排出する便を作る腸の働きも低下してしまうからです。
ここで一度自分の生活習慣を見直してみてください。体内に「有害物質を取り込まない、溜め込まない、発生させない」生活習慣に少しでも近づけていくことが、デトックスの第一歩なのです。
デトックスを促す生活習慣
・腸内環境を改善して便秘を改善する
・水分を1日1.5~2Lはとる
・野菜、果物を毎食食べる
・肉を食べすぎない
・ジャンクフード、加工食品を食べすぎない
・ストレスを解消できる趣味をもつ
・禁煙する
・揚げ物を食べすぎない
・生活のリズムを整える
・乳製品、発酵食品を毎日食べる
・睡眠不足を避ける
・適度な運動をする
・マグロなどの大型魚を食べすぎない
・お酒をほどほどに
・紫外線に長時間さらされない
デトックス成分が豊富な食材を食べよう
デトックスの基本は有害物質を無害化することです。有効な方法としては、排出、吸収抑制をする食事をすることです。とくに、有害物質の排出を促す成分を多く含んだ食材を意識して食べることで、有害物質をすみやかに体外に排出できます。
もう一つ、有害物質の排出を促すためには、腸内環境を整えることも必要です。じつは、体内の有害物質の約75%は便から排出されるといわれているからです。そのため、腸内環境を整え、排便をしっかり行える腸内環境を作ることが、デトックスできる体づくりの基本といえます。
亜鉛、マグネシウム、セレンなどの体のコンディション維持に欠かせない、必須ミネラルを摂取することも有害物質を排出するためには必要です。必須ミネラルは、体内に溜まりやすい有害ミネラルや老廃物を包み込み、体内で吸収されるのを防ぐとともに排出を促すサポートしてくれるからです。
デトックスを促す食材はこれ!
「キレート成分」で有害ミネラルを出す
キレート成分とは、有害物質を包み込むことで吸収を防ぎ、尿や便などとともに排出するキレートと呼ばれる作用を促す成分のことです。とくに、有害ミネラルの排出に有効といわれています。この成分を含む食材は、キレート食品と呼ばれ、その代表格がネギやニラ、ニンニク、タマネギなどの香味野菜。香味野菜の刺激臭のもとになっているイオウ化合物が強いキレート作用を発揮します。
亜鉛、マグネシウム、セレンも同じく、キレート作用の強いミネラルとして知られています。これらは、野菜や果物、魚介や牛肉、アーモンド、落花生などに豊富に含まれるため、野菜と果物は毎日、欠かさず食べるようにしましょう。
【おすすめ食材】
香味野菜、牡蠣、イワシ、レバー、牛赤身肉、ラム赤身肉、煮干し、ウナギ、アーモンド、カツオ、アン肝、タラコ、アジ、ゴマ、卵、レバー赤身、シラス、ウニ
「抗酸化成分」で活性酸素を消す
活性酸素は、有害ミネラル以上に猛毒物質です。恐ろしい活性酸素を体から取り除いてくれるのが、抗酸化物質(フィトケミカル)豊富な抗酸化力をもつ食材です。緑黄色野菜は、抗酸化力がとくに強いことが知られています。緑黄色野菜には、抗酸化であるビタミンA、C、Eがバランスよく含まれています。
ビタミンA、C、Eを上回る抗酸化力をもつのが、アスタキサンチンという成分です。この成分は、鮭やエビのような加熱しても変色せずに残る赤い色素成分です。ただし、エビは殻の部分にアスタキサンチンが豊富に含まれているため、食べるなら桜エビのような殻ごと食べられるものがおすすめです。
また、トマトの赤い色素成分、リコピンの抗酸化力も強力であることが知られています。
【おすすめ食材】
ウナギ、鮭、エビ、アン肝、卵黄、レバー、かんきつ類、キウイ、柿などのフルーツ類、緑黄色野菜、大豆製品、アーモンド、ゴマ、アボカド、トマト、パプリカ(赤)
「食物繊維」と「乳酸菌」のWの力で悪玉菌を減らす
食物繊維には腸内の有害物質や老廃物を包み込み、排出したり、腸壁にバリアを作って有害物質の吸収を防ぐ働きをもちます。直接的に有害物質を排出するだけではなく、便の量を増やして便通をよくしたり、善玉菌のえさになることで善玉菌を増やすなどの役割ももっています。また、食物繊維と合わせ技でとってほしいのが、食物繊維とともに善玉菌のエサになるオリゴ糖です。
もう一つ、デトックスを促すうえで忘れてはならないのが、発酵食品です。発酵食品には、善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす働きをもつ乳酸菌が豊富に含まれています。ヨーグルトをはじめとした発酵食品を毎食食べる習慣をつけるだけでも、お通じがよくなり、有害物質を溜めない、きれいな腸を作ることができます。
【食物繊維+オリゴ糖をとれるおすすめ食材】
インゲン豆、ヒヨコ豆、ゴボウ、おから、サツマイモ、バナナ、玉ネギ、長ネギ、トウモロコシ、納豆、きな粉、ヤーコン
【おすすめ発酵食品】
ヨーグルト、チーズなどの乳製品、納豆、みそ、甘酒、キムチ、ぬか漬け、ピクルス
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監修:篠原絵里佳(しのはらえりか)/管理栄養士。総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独立。長年の臨床経験と抗加齢医学の活動を通し、体の中から健康を作る食生活を見出し、最新情報を発信している。アスリートの栄養指導経験も豊富。睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士としても活躍。食事と睡眠の観点から健康にアプローチする「睡食健美」を提唱。
ライター:楠田圭子
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