過眠の原因「ウインターブルー」って何?寒い季節を元気に乗りきるコツ【薬剤師監修】
YOLO 編集部
- 2021年12月24日
「冬は毎年気分がすぐれない」「寒くなると寝過ぎてしまう」といったお悩みのある方はいませんか?とくに年末年始など長期休暇のあとは、体がシャキッとしないという方も多いのではないでしょうか。これは、「季節性情動障害」と呼ばれる体の不調のひとつです。ウインターブルー、冬季うつ、正月うつなどともいいます。
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過眠の正体はウインターブルーかも?
今回は、薬剤師の中山歩実さんにウインターブルーの原因や対策について聞きました。まずは、ウインターブルーの原因や症状について解説します。
ウインターブルーとは?
ウインターブルーとは、冬の季節に関連した気分の落ち込みのことです。季節の変化による気分の障害はとくに冬に多くみられることがわかっていて、北米では5%、冬の長い北欧では10%もの人が悩んでいるといわれています。通常のうつでは不眠症状を訴える場合が多いのですが、ウインターブルーでは逆に過眠になりがちなのが特徴です。
ウインターブルーの原因
ウインターブルーの大きな原因としては、「セロトニン不足」があげられます。
セロトニンとは、「幸せホルモン」とも呼ばれるやる気や幸福感にかかわる脳内物質のこと。セロトニンは主に日光を浴びることによって分泌されるため、日照が不足する冬はセロトニンの分泌量が低下してしまうのです。
セロトニンの分泌が低下すると精神的に不安定になり、ウインターブルーを引き起こす原因となってしまいます。
そのほか、冬には帰省やイベントごとが多いため、食生活や生活リズムが乱れがちになり、結果として心身のバランスが崩れやすくなります。
心身のバランスを乱す原因
- 日光を浴びない
- 運動不足になっている
- 生活リズムが乱れている
- 食べすぎ
- アルコールの飲みすぎ
こうした原因によって自律神経が乱れたり、ホルモンバランスが崩れたりすることが、ウインターブルーを引き起こします。
過眠だけじゃないウインターブルーの症状
ウインターブルーには、過眠のほかにも以下のように特徴的な症状がいくつかあります。
- 食欲が増す
- イライラする
- 気力が出ない
- 気分が落ち込む
休み明けに体や気分がシャキッとしないのは、単なる「なまけ病」ではなく、ウインターブルーかもしれません。予防方法を知って対策することで、少しでも快適に冬を乗り切りましょう。
ウインターブルーによる過眠を予防・改善する生活習慣
次に、ウインターブルーを予防・改善するための対処法をご紹介します。
午前中に30分の日光浴をする
日光浴はセロトニンの分泌を促進し、生活リズムを整えるのに有効です。太陽光で体内時計がリセットされ、目から太陽光を取り入れることで「セロトニン」が作られ、精神が安定します。また、セロトニンの分泌量が増えると、睡眠の安定にもつながります。
セロトニンは朝に作られてから15時間ほど経つと、眠るためのホルモンである「メラトニン」へ変化します。そのため、朝に太陽光を浴びておくことで、夜に自然と眠くなるようなリズムが作られるのです。セロトニンを分泌させるためには、30分~1時間ほど日光を浴びるとよいとされています。やる気のでない冬こそ積極的に日光浴をし、体内時計を整えていきましょう。
生活リズムを崩さない
ウインターブルーを予防するためには、生活リズムを崩さないことが大切です。生活リズムが崩れると、自律神経やホルモンバランスの乱れにつながり、結果として心身のバランスが乱れてしまいます。「長期休みだから」「寒くて起きられないから」と、昼近くまでだらだらと布団に入っていませんか? そうした習慣はウインターブルーを引き起こす原因となってしまいます。
正月休みや長期休み中も、寝る時間・起きる時間はあまり大きくずらさないようにしましょう。加えて、日頃から運動の習慣がある方は、長期休みであっても少し運動を行った方がウインターブルーを起こしにくくなりますよ
食べすぎ飲みすぎに注意する
秋から冬にかけてはイベントが多いため、ついつい食べすぎたり、お酒を飲みすぎたりしがちです。食べすぎは、胃腸の疲れを引き起こすだけではありません。血糖値の急上昇や急下降を頻繁にくりかえすと、自律神経が過敏に反応し、徐々に乱れてしまいます。
また、「お酒を飲むとよく眠れる」と思っている方もいますが、お酒は眠りを浅くします。疲れが残り、生活リズムが崩れる原因となりますので、休肝日を作ることや量をセーブすることが大切です。
ウインターブルーの内的ケア
次に、ウインターブルーを内側からケアする方法をご紹介します。
セロトニンの材料になる食べ物をとる
セロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から作られます。トリプトファンが含まれる食材には、以下があげられます。
トリプトファンを含む食材
- 大豆製品(豆腐、納豆など)
- 乳製品(チーズ、ヨーグルトなど)
- ナッツ類
- 卵
植物由来のトリプトファンの方が脳内に到達しやすいとされているため、大豆製品はとくにオススメです。
女性は生理前になるとセロトニンの量が少なくなってしまいますので、意識的に材料となる食べ物を摂るといいでしょう。
ビタミンB6でセロトニンの吸収を助ける
セロトニンは前述のトリプトファンを原料に体内で合成されますが、その際にビタミンB6が必要です。そのため、先ほどご紹介した食材とあわせ、ビタミンB6が含まれた下記の食材も摂るようにしましょう。
ビタミンB6が含まれる食材
- 赤身の魚(マグロ、カツオなど)
- 肉(鶏肉、レバーなど)
- ニンニク
- 玄米
- ししとう
基本的には、食事はバランスよく摂ることが大切です。以上ここまでご紹介した食材を取り入れながら、バランスのよい食事を心がけてくださいね。
漢方薬で内側からサポート
手軽にウインターブルーを改善したい方には、内科や婦人科の治療でも使われている漢方薬もオススメです。
漢方薬は、自律神経の乱れ、ホルモンバランスの乱れに体の内側からアプローチします。体質から改善しますので、心と体を根本的に健康な状態に整えられます。
ウインターブルーの症状改善におすすめの漢方薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
疲れやすく気力がわかない方にオススメです。体のエネルギーを補うように働くことで、胃腸の調子を整えたり、疲労倦怠感や不眠を改善したりします。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
肩がこり、精神面が不安定な方にオススメです。血の巡りをよくすることで、自律神経を整えるほか、ほてりや冷えを改善してくれます。
大雪なのは、自分の体質にあったものを選ぶこと
漢方薬を選ぶ時には、自分の体質にあったものを選ぶことが大切です。その人に最適な生薬の組み合わせでないと効果がないだけではなく、副作用が起こる場合もあります。
最近、話題になっている「あんしん漢方」では、薬剤師などの医療チームがAIを利用し、「オンライン漢方相談」を行っています。こうした相談窓口を利用して、漢方に詳しい薬剤師に相談してみるといいでしょう。
「自分に効く漢方と出会いたい」、「お手頃価格で不調を改善したい」という方にぴったりです。
ウインターブルー対策をして冬の憂うつな気分から解放されましょう
シャキッと元気に冬を乗り切ろう
冬に気分がすぐれない、寝すぎてしまうという症状があるなら、ウインターブルーという気分の不調の一種かもしれません。今回ご紹介した対策を取り入れて、シャキッと元気に冬を乗り切りましょう。
監修者
中山歩実
薬剤師。大学病院、市立病院での勤務を経て、長期療養型の病院へ転職。なかなか改善しない症状に対し漢方を使ったサポートを実施している。さまざまな病気の段階の方と接する中で、正しい医療情報を得ることの難しさを痛感し、ライター活動を開始。がんや感染症、生活習慣病など幅広い疾患や薬についての記事制作を担当。「誰もが自分の体を労れる社会」を目指し、あんしん漢方などでわかりやすい情報を発信している。
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