プールフィットネスできみらしく。プロが教えるおすすめスイム(水泳)&エクササイズ
YOLO 編集部
- 2022年08月14日
プールフィットネスやスイム(水泳)がダイエットやボディメイクにおすすめなのを知っていますか?じつは、一般的なフィットネス(ランや家トレなど)と比較して、より効率的に痩せる&キレイになれるんです!プロのインストラクターに、その理由やメリット、初心者でも簡単にできるエクササイズを教えてもらいました。
Index
- 【教えてくれたスイマー】
田中千代実(たなか ちよみ) - 日本スポーツ協会の水泳コーチの資格を持つ、指導歴30年以上のインストラクター。日本水泳連盟では生涯スポーツ委員を務め、自身も“マスターズスイマー”として大会に出場するのが趣味。スイム大好き!まさにプール漬けの日々!?
プールフィットネスこそ、キレイ痩せの近道
スイム(水泳)教室に通い始めたばかりの人によく「痩せられますか?」と尋ねられます。答えは「もちろんです!」。
「スイムでは痩せない」と言う俗説を聞いたことがある人もいるかもしれません。「水温が低いと体温を保つ防衛本能で皮下脂肪を溜め込みやすくなる」と言う根拠に由来すると思われますが、じつは違います。
屋外のプールや競泳用のプールはたしかに水温が低めですが、ジムなどのインドアプールの水温は30℃前後なのでそれほど低くありません。また、1~2時間の入水で、体温を守るために皮下脂肪が厚くなることはまずありません。
ここでは、プールフィットネスがおすすめの理由、そして、初心者や泳げない人でも簡単にできるエクササイズをわかりやすくご紹介しますね。
こんなにあるの?プールフィットネスのメリット
スイムの消費カロリーは陸上の約1.5倍!?
プールフィットネスでのダイエットが効果的な理由は、陸上の運動に比べて消費カロリーが大きいことです。エネルギー代謝量が安静時の何倍かを示すメッツ(METs)で比べると、例えば同じジョギングでも陸上では6メッツ、水中では9メッツとエネルギー消費量は1.5倍も違うことになります。
陸上運動のメッツ(METs)表 | |
---|---|
ウオーキング(速め) | 6.0 METs |
ジョギング(時速8.0km) | 8.3 METs |
ランニング(時速9.7km) | 9.8 METs |
水中運動のメッツ(METs)表 | |
---|---|
水中ウオーキング | 6.8 METs |
水中ジョギング | 9.0 METs |
クロール(ゆっくり) | 8.0 METs |
クロール(速く) | 10.0 METs |
平泳ぎ(トレーニング時) | 10.3 METs |
バタフライ(一般的に) | 13.8 METs |
ちなみに、クロールでゆっくり泳ぐのと陸上のジョギング(時速8km)はほぼ同じ8メッツです。水中で軽く走る運動は9メッツあるので、泳げなくても水中ウオーキングだけで泳ぐ以上のカロリー消費が見込めます。友だちとプールで歩いたりはしゃいだりするだけで、じつは陸上にいるよりもずっと多くのカロリーを消費できるのです。
おしゃべりしながらでも痩せる……?
さらに、プールの水温は体温よりも低いので、身体は体温維持のためにエネルギーを消費します。プールではこうしたことも起こるので、おしゃべりしながら動いているだけでも減量効果があるのです。
「ワタシ、うまく泳げないからダイエットまでいかないわ……」と言う人がいますが、泳ぎが下手な人ほどじつは減量効果あり!なんです。泳ぎがうまければ効率的で省エネの動きになりますが、泳ぎが苦手、練習中と言う人ほど、たっぷりカロリー消費できちゃうのです。
ダイエット効果を全身で期待できる
スイマーは、見た目も美しい“均整の取れた体型”をしている人が多いです。これは、スイムが「全身の筋肉を無駄なく使う有酸素運動」だからなんですね。
有酸素運動が心肺機能を高め、エネルギー消費に有効なのは周知のことですが、陸上での有酸素運動が主に下半身の筋肉を使うことが多いのに対して、スイムは普段あまり使わない上半身の筋肉も使います。そして、左右の動きが均等なのも美しいプロポーション作りに一役買っています。
筋肉や関節への負荷も少ないから安心
さらに、スイムの筋トレは水中ならではのお得な効果が満載です。水の粘性は空気の43倍(!)ですので、その抵抗が負荷となって筋トレ効果が生まれるのですが、陸上でのダンベルやマシンの負荷とは違い、水中では自身の力に合った負荷が自然にかかるので、筋肉や関節へのストレスが少ないのです。
また、身体を水平に浮かせて手足をリズミカルに繰り返し動かすので、アウターの筋肉がパンプアップしすぎることなくしなやかな筋肉が育ちます。程よくついた筋肉が、さらに脂肪燃焼効果を高めるのは言うまでもありませんね。
脚のむくみやだるさもスッキリ!
デスクワーク、立ち仕事、冷房による冷えなどで、脚のむくみに悩んでいる女性は多いですよね。
水深1mのプールに立つと、脚先にかかる圧力は、胸元の圧力よりも10%高くなると言われています。そのため、還流血(足の抹消から心臓に戻る血液)が増加して血流がよくなり、さらに、陸上では休ませるのがむずしい脚の筋肉や脊柱筋が浮力によってリラックスできて、うっ血や筋拘縮を解消してくれます。
脚をバタバタするだけでも効果あり
プールでビート板を持って浮きながら脚をバタバタ、ヒラヒラと動かすだけで、脚のむくみやだるさが軽減されます。ダイエット効果は、摂取カロリーとのバランスによるのでまちまちですが、むくみ解消には即効性があるのはうれしいポイントですよね。
ダイエット効果を狙うおすすめプールエクササイズ
プールエクササイズ初級編
プールは、じつは泳げない人でも楽しくエクササイズできます。水中ウオーキングやアクアエクササイズ、スポーツクラブによってはサップヨガやアクアダンスを行っているところもあります。
レッスンに入ればインストラクターの指導の下で音楽と合わせたり、掛け声もあってテンションも上がることでしょう。
今回はダイエットとシェイプアップを目的にひとりでもできるプールエクササイズを紹介します。
まずは「水慣れエクササイズ」
さあ、いよいよプールに入ります。プールに入るのは何年ぶり?って人もいるかも。
まずは肩まで水に入って深呼吸をしましょう。水圧がかかった状態で意識的に呼吸をすることで呼吸筋の鍛錬になります。水中環境に慣れることからスタートです。
水に怖さを感じるようでしたら、プールの壁に手を置いた姿勢から始めると安心です。片足を腿から前後に振ったり、ひざ下から足を前後に振ってみましょう。足首を振ったり回すのもいいでしょう。
有酸素運動は回数や時間を決めて
ダイエットが目的でないなら楽しく水慣れするだけでいいのですが、有酸素運動や筋トレ効果を狙うのなら、回数や時間を決めて行うのがおすすめです。
例えば、どの動作も片足で30秒続けたら身体の向きと脚を変えて30秒。これを4回繰り返して4分行うといったプログラムを立てます。動作のスピードを速くすればするほど負荷が大きくなるのが水の特性です。自分の筋力や体力に合ったスピードでおこなうことが可能ですし、ゆっくりした動きから少しずつ速い動きにしていくのもいいですね。
バリエーション豊富な「水中ウオーキング」
水中ウオーキングは、アクアエクササイズの基本です。
- 歩く向き(前・後・横・斜め)
- 歩幅 (大きく・細かく・普通)
- 姿勢
- 腕の動き
- 膝・足首・股関節の動き
……そうしたものを変えたり、組み合わせることでエクササイズのバリエーションは無限に広がります。
陸上でおこなう動きを水中でやるだけでもOKですし、陸上では到底難しい動作やキツイ動きも水中では難なくできるので楽しくなるはずです。例えば陸上で後ろ向きに走ったり、ジャンプするなんて転びそうでできませんが、水中では浮力のおかげで楽々できちゃいます。
大股歩きも試してください。陸上では数歩やるだけでギブアップですが、水中では25mを何往復もできるはずです。浮力のおかげで陸上の筋トレのように「キツイ~~」と感じませんが、普段の動きでは使わない筋肉が総動員されて、シェイプアップ効果抜群です。浮力のおかげでゆっくり大きく手足を動かせて、しかも動きのスピードに合わせた適度な負荷がかかることでストレッチ効果も得られます。
水中エクササイズ45分メニュー(例)
ダイエットを狙うなら、ウオーキングを行う量を実施時間や距離、回数を決めてメニューを作るといいでしょう。
- 1.「水中ウォーキング」ゆっくり普通に歩く/4分間
- 2.「大股ウォーキング」両足両手を前後に大きく開いて歩く/3分間
- 3.「膝上げウォーキング」膝を水面まで引き上げてから前に踏み出す/3分間
- 4.「中腰ウォーキング」肩まで水に浸かって歩く(手は平泳ぎのように動かしてサポート)/3分間
- 5.「横向きウォーキング」大きな歩幅で横歩き、脚の開閉に合わせて腕も左右に大きく開閉/3分間
- 6.「後ろ向きウォーキング」4の後ろ向きバージョン/2分間
※4~6まで行ったら、また4に戻って……を4回繰り返す - 7.「上体ひねりウォーキング」両腕を前に伸ばして左右に回し脇腹のストレッチを意識して歩く/3分間
まずは単純なメニューでOK、慣れてきたらエクササイズの回数を増やしたりバリエーションを加えていきましょう。
プールエクササイズ中級編
ド定番の泳ぎ方「クロール」
クロールは、4種目(クロール・背泳ぎ・平泳ぎ・バタフライ)中で最速の種目です。また、長い距離を泳ぐにも向いているため、習得すると有酸素運動トレーニングに大変有効です。多くのスイミング教室がまずはクロールから教えますし、学校の授業で習う「バタ足」はクロールのキックですから、初心者が習得しやすい泳ぎと言えます。
ネックになるのは呼吸動作を横向きでおこなうことでしょうか。初心者クロール教室で多くの人が困惑するのが「息継ぎ」動作です。
顔を大きく上げようとすると身体が沈むので、頭を水に十分預けて腕を回す動作に合わせて息を吸います。
「ブクブク(水中で鼻から息を吐く)、パッ~(口で吸う)」は水泳の呼吸の基本で、これはお風呂でもできるのでスムースに息継ぎができるように繰り返しやってみましょう。息継ぎ動作習得にはビート板を持ってクロールを泳ぐのがおすすめです。
エクササイズの効果としてはクロールと同じですから、息継ぎがうまくいかずにすぐに立ってしまったり、泳ぎが乱れる人は「ビート板クロール」を何本も行うといいですよ。
「ビート板クロール」のやり方
- ビート板の真ん中を片手で抑えて腕を伸ばし、浮き姿勢を保ちながら反対の手でストロークを行う。
- バタ足を打ちながら片方の腕を遠くに伸ばして水に入れ、肩関節の延長線上を後ろに水をかく。
- 水中で鼻から息を吐き、リカバリー(水上で腕を戻す)に合わせて顔を横に向けて口から息を吸う。
- 左右交互に行う。
日本人が得意な「平泳ぎ」
楽そうに見えて実はテクニックが必要なのが「平泳ぎ」。日本人の肩甲骨や骨盤の付き具合など、骨格的に日本人は平泳ぎに向いていると言われています。(実際、平泳ぎの日本選手は世界のトップに君臨しています)
4種目の中で平泳ぎだけが水中で手を戻すので(他は水上でリカバリー)、抵抗の大きい泳ぎでもあります。
またほかの3種目のキックは足の甲を使いますが、平泳ぎは足の裏で水をとらえて進みます。足首が固くてバタ足が苦手な人も平泳ぎのキックだと足首の使い方が全く違うので、別人のように上手く進むという人もたくさんいます。
平泳ぎのポイント
手(ストローク)と脚(キック)の動作を交互に行い、け伸び(手と脚をしっかり伸ばした姿勢)を入れることです。呼吸時に身体が立ったり、お腹が落ちないように腹圧を入れておくのも大切なポイント!
平泳ぎは「見よう見まね」で習得しようとすると「あらぬ泳ぎ?」になりがちなので、座学で平泳ぎのメカニズムを頭に入れたうえでイメージトレーニングや練習をするのがおすすめです。
小慣れた感を演出「背泳ぎ」
水上にまっすぐに手が伸びて、優雅に進む正統な背泳ぎは女性スイマーの憧れです。でも実は「背泳ぎ」はルール上、「仰向けで泳ぐ」ことが大前提で、手や足の動かし方に決まりはないのです。両手同時に動かしたり、キックだけで進んだり、仰向けで平泳ぎのキックを打っても「背泳ぎ」と認められます。
仰向けで泳げる利点は呼吸動作が簡単なことです。呼吸動作が苦手な初心者は背泳ぎ習得から始めるのも一つの手ですね。
背泳ぎのポイント
姿勢とキックが重要です。身体を水平に浮かせて脚を長く伸ばしてキックを打ちます。動作はバタ足の裏返しですが、蹴り下ろすときは膝を伸ばし、足の甲に水をひっかけるように蹴り上げます。初心者はあまり難しいストローク動作をしようとしないで「身体の横の水を後方に押す動作を左右交互におこなう」と言うシンプルさでいいでしょう。
呼吸はいつでもできますが、鼻から吐いて口で吸う呼吸をリズミカルに行わないと、不意に顔に水がかかった時、鼻から水が入って痛い思いをするので気をつけて!
プールエクササイズ上級者
華のアスリート感「バタフライ」
「バタフライが泳げる!」これはもはや初中級スイマーから脱して上級スイマーへと転身した証!? たしかに水泳教室では、4種目の中で最後に習う種目ですので「難しい泳ぎ」、「力がいる泳ぎ」と言うイメージがあります。
しかし、私は以前、水泳専門誌で大人の水泳初心者がいきなりバタフライにチャレンジするという企画の取材をしたことがあります。練習時間2時間、20代と40代の女性が水慣れから始めて、け伸び→イルカ飛び→ドルフィン(バタフライ)キック→陸上でストロークのシミュレーション→片手バタフライと練習していき、ラストはふたりとも見事にバタフライが泳げるようになったのです。1回手を回す間にタイミングよく2回キックを入れると、思うよりも楽にバタフライは泳げてしまうのです。
4種目の中でもバタフライはカロリー消費量が多いのでダイエットにはもってこいですし、筋力体力アップにも効果絶大です。バタフライ習得の壁は思うほど高くないことを知っておいてください。
きみに合ったプールフィットネスで理想の自分へ
経験やテクニックがなくても、自分に合ったスタイルで楽しみながら、心も体も理想に近づけるプール。泳げないから……なんて言わずに、プールデビューしてみませんか?いつものフィットネスとはひと味ちがう、新しい自分に出合えるかもしれませんよ。
“自分らしい”プール&水着を知りたい!という人は、こちらの「スイマー診断」をチェックしてみて。
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