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本当の美しさは細部に表れる【サンバダンサー工藤めぐみさん「太陽美の手に入れ方」】④

工藤さんが躍る姿を見ると、ブラジル人のサンバとは少し違う印象を受けます。その理由は「指先」。ブラジル人にない指先の繊細な動きに魅了されます。女性の美しさは末端に出ると言いますが、工藤さんのサンバはそれを証明しているよう。そこには、海外で活躍するからこそ見つけることのできた、日本人としてのアイデンティティがありました。

末端にこそ自分らしさが表れる

「踊りも指先まで気を遣うようにしているんですよ。現地の女の子達は野性的に踊るパワフルさが魅力ですが、日本人の私の強みは繊細さ。指先の細やかさにも、女性らしいエレガントさを大切にしたいなって思うんです」

「昔クラシックバレエをやっていたんですが、やっぱりバレエは私の中で基礎になっているので、よかったなぁって思うんです。バレエを基礎に入れたエレガントさ、優雅さみたいなのが出せるのかなって思います。だから、私のレッスンでは、手の動きも大切にしてるんですよ」

「動」のイメージの強いサンバですが、「静」の動きから始めるのが工藤さんのオリジナルメソッド。まずは心を静めて、肩甲骨を内側に入れる。指先から体を引き上げて、全身のバランスを整えることから始めます。

見せてもらった手元は、きちんと切りそろえた爪に、自然な色のネイルが施されたナチュラルな印象。でも、この指先が踊りだすと、何とも言えない女性らしい品を感じさせます。

「セクシー慣れ」していない日本人にとって、女をアピールすることはどうしてもあざとく感じるもの。工藤さんの踊りが、同性が見ても魅力的に映るのは、この指先まで神経の行き届いた優雅さあってのことなのかもしれません。

黒髪こそ日本人の個性で魅力

そして、工藤さんのもう一つのこだわりは黒く長い髪。

「以前は、パーマをかけてチリチリにしていたこともありました。『ブラジル人になりたい』と思っていたんですよね。でも、師匠に黒髪はオリエンタルな魅力があると教えてもらいました。海外の方にとても人気があるんです」

「回った時の躍動感や、髪の毛をバサッとかき上げる女性らしい仕草は、サンバの魅力の一つなので、日本人ゆえの黒髪は私の武器になると気づいたんです。それからはずっと髪を黒くロングを維持しています。日焼けをするとどうしても痛みやすいので、シャンプーリンスにこだわって、サロン専売のものを選んだり、毎日ヘアオイルでケアするのも欠かせません」

憧れられる存在になるために
持っているもの受け入れる

とはいえ、見た目を磨くだけでは、パシスタに選ばれることはかないません。近年は世界中から参加を希望するダンサーが集まり、競争はさらに厳しくなっているからなおとのこと。

パシスタに選ばれるために必要なのは、過酷な練習を経てこそ得られる踊りの技術はもちろん、常に「憧れ」のダンサーでい続けること。写真撮影を求められるなどファンとの交流も多いため、その人気具合や振る舞いにも厳しい目が向けられ、人間性までも問われます。「自分は、パシスタとしてふさわしいか」という問いに、答えられる準備が常に必要なのです。

そんな厳しさをみじんも感じさせず、工藤さんは笑顔の素敵な人に憧れると言います。

「昨年から念願の歯の矯正を始めました。実は、ブラジルの方は歯の矯正をすることがポピュラーなんです。気軽にどこでもできるんですよ。歯のホワイトニングをずっと通っています」

工藤さんは、ブラジルで海外を経験したからこそ、日本のよさがわかったと言います。

人種も環境も、パシスタとして選ばれるのには不利な条件の中、自分がサンバを踊るなら“どう魅力的であるか”。パワフルな黒人女性達の中で工藤さんが輝きを放つのは、日本人であること、そして、自分の持っているすべてを受け入れた人の美しさゆえなのです。

第5回へ続く。

上は、最近のお気に入りという、リオデジャネイロの老舗ブランド「グラナード」のパウダー、Um sonho ウン・ソーニョ(夢)。友人からプレゼントされたボディショップの限定品の「ベリーボンボン」の香りもお気に入り。

【目次】
第1回:笑顔が意識も変えてくれる
https://yolo.style/hb_or190514_005/

第2回:見られるから綺麗になる
https://yolo.style/hb_or190515_003/

第3回:スタイルキープは体重計より鏡
第4回:本当の美しさは自分の中に
第5回:サンバで変われる、キラキラできる理由

取材・文=佐倉 光 写真=樋口勇一郎

【プロフィール】
工藤めぐみさん/サンバダンサー

9歳の時、クラシックバレエとサンバを始め、19歳で単身リオデジャネイロにサンバ留学。現地サンバチームのオーディションに合格し、リオのカーニバルに出場。伝統的なカーニバルチーム「G.R.E.S. Academicos do Salgueiro(サルゲイロ)」の花形ダンサー「パシスタ」に選ばれ、日本人パシスタとしてはじめてSALGUEIROチーム優勝に貢献する。以来、日本人トップダンサーとして日伯を行きし国際的に活躍。リオデジャネイロ・オリンピックの開会式、閉会式にも参加する。帰国時には、数々のショーやイベントに出演する他、地元神戸では後進の指導にもあたっている。

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