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本場カリフォルニアのリアルなサーファーズハウスが見たい!vol.3|サンタバーバラ・ウエストビーチ

本場カリフォルニアのリアルなサーファーズハウスは、サーファー独自の感性に満たされた個性的なものばかり。しかしそこに共通するのは、“豊かに暮らす遊び心”。そんな夢の城を、私達は敬愛を込めて“Surf Shack(サーフ小屋)”と呼ぶ。

NALU本誌の人気連載vol.3は、2016年ボードルームショーの優勝者ライアン・ラブレース。世界に向けて自分のボードをシェイピングし7つの海を股にかける男が選んだ家は、パーフェクトチューブで有名なサンドスピッツのあるサンタバーバラ・ハーバーの海の上にあった。

「サーファーズハウス」
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自己流を突きつめ辿り着いたライアンの職人的ハンドシェイピングに、世界中のサーファーが魅了されている

冬の知らせとしてやってくるノースウエストスウェル。アラスカからの長旅を経てリンコンで生まれるパーフェクトロングウェーブは世界中のサーファーを魅了する。そのポイントがあるサンタバーバラに、ライアン・ラブレースのショップ「Trim」がある。
新進気鋭のハンドシェイパーであるライアンは、今の時代の流れと逆行するかのように一本一本丁寧に、クライアントの要望に合わせてブランクスからボードをシェイプする。時間も費用もかかってしまうが、彼へのオーダーは増え続ける一方だ。何故ならライアンが仕上げるそのボードは、一人ひとりのサーファーにとって、唯一無二のマジックボードになるからだ。

▲週末はフィッシュマーケットが催され観光客で賑わうハーバー。停泊中のボートは多くあるが、住まいとして暮らす人はごく僅か。いうまでもなく愛犬とサーフボードはいつも一緒

サンタバーバラでの生活では、サーフィンが生活の一部に

1986年シアトルで生まれアートコミュニティーで育ったライアン・ラブレース。子供の頃からモノ作りが大好きで、創作した作品の全てに自分の名前を載せていたという。2000年頃から始まった経済不況に続き、2001年9月に起きた同時多発テロで苦しんでいる大きなブランドカンパニーを目の当たりにした彼は、信じられるものは唯一自分の手で誠実に作ったモノだけだと感じ始めたと言う。

18歳になりサンタバーバラのカレッジに通い、なるべく早く独立するためにビジネス学を専攻したというライアン。既にサンタバーバラでの生活では、サーフィンが生活の一部になっていた事から、サーフショップで働き始めた事は、彼にとって自然な流れだった。そこでサーフボードを作るために、素材やシェイピングなどの基礎を独学で学び、19歳になって初めて自分のサーフボードをシェイプした。
▲クライアントがサーフィンをしている姿を想像しながら、真剣な眼差しでボードを見つめる。ほとんどマスクを装着せずに黙々とシェイプする姿が印象的だ

「当時は師匠もいなかったし、経験はほぼゼロ。それでも見よう見まねでスタートしてみたんだ。ずっとモノを作ってきたという自信もあったし、自己流だけどボードシェイピングに次第に没頭していった。欲しいボードが高すぎて買えなかったことがきっかけで、自分自身のために作ったんだ。それを見て仲間がオーダーしてくれたり、その友達がまた注文してくれるという連鎖が始まった。ボクのボードの噂は、瞬く間に口コミで輪が広がっていったんだ」そんな風に過去を振り返る彼は、2016年にトップシェイパーが集まるボードルームショーのシェイプコンテストで優勝し、名実共に若手を代表するシェイパーになった。今では季節によって多少の変動があっても、常に200人前後のオーダー待ちがあるという。
▲シェイピングがすべて終わり、最後にサインを書き込む事は神聖な作業。自身のソウルを込めて、安全に楽しくサーフできることを祈るという

自らをシェイプ・モンキーと形容するほど、ボードシェイピングを苦にしない。普段は午前と午後に1本ずつ、休む事なく1日2本をシェイプするのがルーティーンだという。シェイピングの最後にサインするのは自分の2本の手から生まれたものに対する証。最近ではフィンカンパニーとして有名な「True Ames」ともコラボレートして、実験的なフィンも限定で発売している。そして世界各地を飛び回り、現地でシェイプしてマジックボードを生み出す。

そんな才能溢れるライアンの目標は、近い将来一年の半分をハワイで過ごすことだ。幼少の頃、祖父が住むマウイ島に頻繁に遊びに行っていたこともあり、ハワイのスローライフが肌に合うというライアン。意識していないと、ついハイペースになりがちな毎日を、ハワイに行くことによって精神的にも身体的にもニュートラルにする事ができる。その結果、自分にとって人との繋がりであるサーフボードが、より良いものになっていくと確信している。
▲マウイ島でサーフィンを始めた時から、今までずっとサーフィンに首ったけと言う。家族や仲間に改めて感謝できる大切な時間。自然の中に身を置くことにより、サーフィンがいつもそれを再確認させてくれる

サンタバーバラ・ハーバーのボートで暮らそうと言い出したのは、水着などの女性向けサーフ・アパレルブランドPsychedelic Honeyを経営する奥様のケイティ。彼女はハーバーの近くで生まれ育ち、その美しさに魅了され海の上での生活を長年夢見ていた。高級住宅地のサンタバーバラで暮らしていく事を考えると、もちろん経済的に船での生活は魅力的で、今まで避けられなかった出費を自分のショップに費やすことができているのだと言う。
▲ショップには色とりどりの鮮やかなボードが、所狭しと並ぶ。ライアンの作品はシェイピングだけでなく、発色も斬新でカラーリングには定評がある

窓から差し込む朝日で穏やかに目を覚まし、一日働いた後は、オープンデッキでビールを片手に夕日を眺めるのが一番好きな時間。そして夜になったら静けさに包まれ、波の音しか聞こえないという船上の暮らしは、二人にとってのパラダイスなのだ。

 

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NALU 編集部

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テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

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