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本場カリフォルニアのリアルなサーファーズハウスが見たい! vol.10|サンタバーバラ・カーペンテリア

本場カリフォルニアのリアルなサーファーズハウスは、サーファー独自の感性に満たされた個性的なものばかり。しかしそこに共通するのは、“豊かに暮らす遊び心”。そんな夢の城を、私達は敬愛を込めて“Surf Shack(サーフ小屋)”と呼ぶ。

NALU本誌の人気連載vol.10は、サーフボードシェイパーのジャック。スノーボードを突き詰めた後、サーフボードシェイプに魅了されたジャック。今は美しい小さな海沿いのサーフタウン、カーペンテリアに住んでいる。潮の匂いと海風が心地良い街の自慢のビーチから、1ブロック入った海まで徒歩1分のサーフライフを覗いてみよう。

「サーファーズハウス」
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こだわりの詰まったカリフォルニアスタイルのビーチハウス

1940年代に建てられたこの家は、元オーナーがハリウッドで有名なセットデザイナーであったため内装の所々に映画セットをリサイクルしたものから作られている。1973年に公開された衝撃的なホラー映画エクソシストのラストシーンの階段が再現されているところは一際目を引く。インテリアスタイルは簡素なboard and battenでイメージはまさに昔の典型的なカリフォルニアのビーチハウス。

▲青と白、茶色を基調としたアースカラーが、抜けるようなカリフォルニアの青空と心地よくシンクロする

簡単なサーフボードのリペアやエアブラシ、カラーリングのワークショップなども出来るお気に入りのガレージだ。その上をリノベーションしてジャックの寝室を増やした。一年を通して快適で常に花が咲いているサンタバーバラならではのオリジナル品種にこだわり、主にサキュレントを中心にガーデニングを施し、鮮やかな色の花をアクセントとして要所要所に散りばめ見事なランドスケープを演出している。

▲ハミングバードが甘い蜜の香りを頼りにハングアウトしにくるこのシャックには、多肉植物がよく映える。自然光を最大限に取り入れる窓を全て開放してアウトサイドと融合する事で、まるで一つの惑星のようになり想像力を掻き立てられるのだそうだ。

積年の夢は潰えたがサーフィンの世界で生まれ変わる

サンホアキンバレーの中心都市フレズノは、一般的にはヨセミテ国立公園の入り口の町として知られているが、実はカリフォルニアで最も実り豊かな生産地域であり、かつセントラルバレーの農業の中心地。世界中にカリフォルニア産の最高級品質アーモンドを供給する指折りファーマーWoolfファミリーの五人兄弟の一人としてジャックは誕生した。五人の中でサーフィンをするのはジャックのみ。長男はすでに先生として活躍し、次男はUC Davisの大学院に通う。妹たちはまだ大学生。子供の頃に足繁く遊びに行った従兄弟がサンタクルーズに住んでいたことから、ジャックは7歳の頃に初めてサーフィンを教わり、水遊びに一際興味を示さない兄弟を横目にどんどんはまっていった。しかしながらやはり海が遠かった環境もあり家族が持つ山小屋があるハンティントンレイクを拠点に、次第にスノーボードが主軸となっていった。

▲父親から譲り受けたシェビーの50ʼsヴィンテージピックアップトラック。今でも現役で大量のボードを運ぶときに重宝する

高校はスノーボードで有名なメイン州の学校に行き、卒業後モンタナに山ごもりをし独自のライディングを追求する。チームライドで有名なコロラドのカレッジに通い、全米の腕利きスノーボーダーと切磋琢磨するが、上には上がいることを痛感したジャックは長年蓄積された腰や膝の痛みの影響も考慮し、志半ばに小さな頃からの夢であったプロスノーボーダーの道を諦める。自暴自棄になって落ち込んでいた自分を救ってくれたのはサーフィンだという。また波乗りがしたいと思ってサーフショップに足を運んだが、サーフボードの値段に目を丸くしたと言う。その頃の彼の懐事情では市販のボードを買う事は出来ず、自ら板をシェイプしてみるチョイスしかなかったのだそうだ。

こうしてボードシェイプをスタートしたジャックは、もっと良いボードをと削り続けていくうちに時間も忘れ気付けばシェイピングの虜になっていた。数々の伝説的な波に乗ったプログレッシブサーフのデイブ・ジョンソンに目をかけてもらい、シェイピングベイを横に構え、デイブの手ほどきを受けながら来る日も来る日もボードを削り続けた。ジャックの幼馴染のサーファーカップルが結婚したときにロングボードとフィッシュボードをサプライズとして贈ったのは仲間内では有名な話。二人のボードにはグラスする前に彼らの思い出が詰まった家のウォールペーパーを敷き詰め、テールにもウッドを埋め込んだオンリーワンのボードに仕立て上げた。

▲気さくな人柄の彼のシャックは、常にサーフバディが集う憩いの場だ

極寒のアラスカでサーフィンの可能性を発見

そんな友達思いで、男気溢れるジャックには忘れられないサーフトリップがある。10日間ボートの上で過ごしたアラスカの旅の思い出だ。雪山をバックに7ミリのグローブと5ミリのフード付きのドライスーツ、厚手のブーツを身に纏う。唯一露出している顔に時折当たる氷水は、肌を切り裂くような痛さだ。1日の流れは地図を見てその日の目標とするポイントに向かい波乗りをする。その後は釣りを楽しみ、獲れた獲物を仲間と夕食で囲みお酒を酌み交わす。

▲乗船のときがワクワクの最高潮。短い間だが苦楽を共に過ごし、同じ釜の飯を食べれば家族同然。太陽と共に寝起きし満点の星空を眺めて就寝する。明日はどんな波が待っているのか……

もちろんいつも無人のラインナップでポイント名すらないので自分たちでふざけながらネーミングし合う。サメが怖くてサーフィンをしない人は少なくないが、アラスカにはあのキラーウェールがいる。幸い滞在中に遭遇することはなかったが、航海してる時に双眼鏡で遠くに背びれが見え隠れしたときには流石に背筋が凍り入水は控えたという。この貴重な経験を踏まえジャックは波さえあればどこでもサーフィンできると断言する。「次は流氷が漂うアイスランドで誰にも見つけられてない波でサーフしたい。極寒の海でもウエットの下は汗をかいてるから全然寒さは気にならないからね」そんな強い欲求が芽生え出したという。

▲アラスカで一番驚いたのはどこまでも透き通った海水。何百年もかけた氷河の雪解け水が岩の間から染み出してくる。不純物をほとんど含まない淡水が大量に混ざった水は脅威の透明度だ

50年代から今でも現役でシェイプし続けるリビングレジェンド、レニー・イェイターやリッチ・パベルのボードが集うグラスショップに勤務するジャック。常に彼をインスパイアしてくれるボードに囲まれながら、あくなきマジックボードへの道を探求する。今新たにチャレンジしているプロジェクトは、オリジナルフィンを作ること。自分がどこまで追求し、どんなものを生み出せるかを突き詰めたいのだそうだ。

▲白いままのサーフボードはサーフボードではないと豪語するジャックは、テーマだけを決めて無地のブランクに自由に感じたままを描くフリースタイル。フィニッシュアップの時に想像以上の出来に仕上がった時は、最高の気分だとか

 

「サーファーズハウス」の記事はこちらから。

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テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

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