その疲れ大丈夫?慢性的な疲労は病気かも!原因と効果的な解消方法を薬剤師が伝授
YOLO 編集部
- 2021年05月05日
「仕事や家事が忙しく、なかなか疲れがとれない」「休んでいるのに疲労感が長引く」そんなお悩みをお持ちではありませんか?
疲労が蓄積すると慢性化して、思考能力や注意力の低下、行動量の低下などを引き起こします。「慢性疲労症候群」という病気にもなりかねないので、症状の軽い段階で治しておきたいですよね。
今回は、慢性疲労の原因や手軽にできる解消方法を、あんしん漢方の薬剤師、杉岡弥幸さんに教えてもらいました。
Index
慢性疲労の原因とは?
疲労とは、「過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態」と定義されており、「末梢性疲労」と「中枢性疲労」に分類することができます。
また、長引く疲労は慢性疲労症候群のおそれがあるため注意が必要です。以下に、それぞれの疲労の原因を示します。
末梢性疲労(体の疲れ)
体の疲れにより生じる「末梢性疲労」は、活性酸素による酸化ストレスが大きな原因と考えられています。
活性酸素は本来、細胞伝達物質や免疫機能として働く物質ですが、過剰に産生すると細胞を傷つけてしまいます。
通常は、活性酸素が発生すると生体内で速やかに処理されます。しかし、運動などのエネルギーをたくさん使う活動によって過剰に活性酸素が産生されると、十分に処理しきれずに酸化ストレスが溜まっていきます。
その結果、自律神経の細胞や筋肉が活性酸素によって攻撃されて疲労へとつながるのです。
中枢性疲労(脳の疲れ)
心理的・精神的な疲れにより生じる「中枢性疲労」は、視神経や脳の緊張状態が続くことが原因です。
長時間の会議や人間関係、悩み事などによりストレスが蓄積すると、体の疲労とは別に大量の活性酸素が産生され、自律神経が酸化ストレスにさらされます。
その結果、自律神経のバランスが乱れて、体をリラックスさせる副交感神経の機能が低下し、脳に疲労が溜まってしまうのです。
末梢性疲労とは異なり、休んでも疲労が緩和されにくいため、早めに解消することが大切です。
慢性疲労症候群の可能性(病気)
普段の疲労とは違い、日常生活を快適に過ごせないほどの疲労や倦怠感、睡眠障害が6ヶ月以上続く場合は「慢性疲労症候群」という疾病の可能性があります。
原因・病態は明らかになっておらず、一般的な血液検査、尿検査、画像検査ではわかりません。疲労感に加え、微熱や悪寒、頭痛、睡眠障害、認知機能の低下といった症状が重なる場合は注意が必要です。
慢性疲労症候群は、20~50代にかけて多く発症し、とくに女性は男性の3~4倍も多く見られるといわれています。また、「几帳面な人」「真面目な人」「正義感が強い人」などは慢性疲労症候群になりやすいため、疲労に気づいた時に対処していくことが大切です。
慢性的な疲労をスッキリ解消する方法
慢性的な疲労を解消・予防するには、日頃のセルフケアが大切です。
以下に、疲れを溜めないための解消法をご紹介します。
休養・睡眠
休養や質のいい睡眠は、自律神経やホルモンのバランスを改善し、免疫機能を正常に整えます。心身のバランスが安定した状態になるため、とくに末梢性疲労に効果的です。
「休養」は睡眠だけではありません。仕事の合間の休憩や、ゆったりした休日、リフレッシュする休暇など、さまざま挙げられます。自分に合った休養をとりましょう。
質のいい睡眠で休養をとるには、6~8時間眠ることが必要です。
不眠ぎみの人は、目覚めの朝に太陽光を浴びるといいでしょう。睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が規則正しくなり、体内時計が調節されます。起床直後の太陽光が最も効果的なので、起きたらまずカーテンを開けて気持ちのよい朝を迎えましょう。
軽い運動・ストレッチ
先程お話ししましたが、過度な運動はかえって身体的なストレスや末梢性疲労を引き起こします。しかし、適度の運動やストレッチは気持ちのリフレッシュや免疫力アップに効果的です。ストレスなく続けられる運動を見つけ、習慣化していきましょう。
例)散歩、ウォーキング、水泳、ヨガ、エクササイズ
食事改善・おすすめの食べ物
偏った食生活を続けていると、消化器官に負担をかけて免疫力を低下させ、疲れやすい体質に変わってしまいます。空腹時間をつくり消化器官を休ませて、体の内側から疲労を解消しましょう。
また、疲労を解消させるために取り入れたい成分は「イミダペプチド」と「クエン酸」です。
・イミダペプチド
抗酸化作用を持ち、活性酸素による酸化ストレスを軽減する効果が期待できます。1日あたり200mg摂り続けることで抗疲労効果を発揮するといわれています。
(例)鶏の胸肉、マグロ、カツオ
・クエン酸
私たちの体のエネルギー生成や疲労回復に重要な働きをしている成分です。
(例)レモン、グレーププルーツ、梅干し、酢
日頃からバランスのいい食事を意識して、ご紹介した食べ物を取り入れてみてください。
アロマや入浴でリラックス
入浴は体の巡りを良くするため、ストレスの緩和が期待でき、末梢性疲労にも中枢性疲労にも効果的です。また、寝る前の入浴で一時的に体温を上げることで、睡眠の質が高まります。
寝る2~3時間前に少しぬるめ(40℃程度)の湯船に20分~30分ゆったりつかりましょう。半身浴もオススメです。
湯船にアロマオイルを数滴垂らして、気分をリフレッシュするのもいいでしょう。
適切な入浴法で疲労を緩和し、良質な睡眠を手に入れましょう。
ストレス環境からの脱却
仕事や家事、育児など、日々のストレスを避けることは難しいと感じる人は少なくないはず。まずは捉え方を変える意識から始めましょう。
「疲れた」ではなく「よく頑張った」「充実した1日だった」という風にプラスに捉えて口にすることで、ストレスの軽減が期待できます。
また、夜更かしやアルコールの飲みすぎ、寝る前にパソコンや携帯をさわるといった行動は、反対に余分なストレスをためこんでしまう原因にもなるため避けましょう。
医療機関の診察
慢性疲労に対しては現時点では有効な治療法は確立されていませんが、抗酸化療法(多量のビタミンC、CoQ10など)、免疫賦活療法(漢方薬など)、向精神薬(SSRI、抗うつ薬、抗不安薬など)、精神療法(認知行動療法など)、運動療法が考慮されます。
慢性疲労でお困りの人は、まずは内科を受診しましょう。
体質に合った漢方で慢性的な疲労を和らげる
「疲れに負けない体質を目指したい」そんな要望に応えてくれるのが、漢方薬です。
「疲労」「倦怠感」などの悩みに効果を認められている漢方薬はいくつもあります。とくに、漢方薬はホルモンバランスの乱れによる不調の改善には高い効果を発揮するでしょう。
また、自然の生薬を組み合わせて作られる漢方薬は、西洋薬よりも副作用が少ない点も特徴です。さらに、漢方薬は症状を抑える作用だけでなく、根本改善に対しても効果を発揮します。
たとえば、腰痛に漢方薬を使用した場合、痛みを抑えるだけでなく、ストレスから来る交感神経のバランスの崩れや血流の滞り、冷えなどに働きかけるのです。
漢方薬はこのように、根本的な原因の改善を目指します。そのため、漢方薬の服用を続けることで、同じ症状を繰り返さない体質に変えていくこともできるのです。
また、生薬を何種類も組み合わせて作られている漢方薬は、心と体のいくつもの症状に同時にアプローチできます。一般的に使われている薬は化学的に合成されており、限定した症状のみに作用するため、その点も異なりますね。
漢方薬のメリットは、以下の3点です。
- 医薬品として効果が認められているが、自然の素材が体にやさしく働くため、一般的に副作用が少ないといわれている
- 一人ひとりの今の症状に合わせて生薬の組み合わせを調節できる、オーダーメイドのような処方が可能であるため、体質に合えば高い効果が期待できる
- 生薬にはたくさんの成分が含まれているので、いくつかの症状に対して、一つの漢方薬で対応できることが多い
さらに、バランスの取れた食事や運動を毎日続けることが難しい場合でも、漢方薬であれば症状や体質に合ったものを飲むだけなので、無理なく続けることができるでしょう。
このように、ストレスなく服用できる漢方薬を、日常の不調改善に取り入れてみませんか?
早速試してみたいという方のために、以下に「慢性的な疲労」によく使われる漢方薬をご紹介します。
慢性疲労を解消し、疲れに負けない体を目指したい方におすすめの漢方薬
気力がわかず、だるくて疲れがとれない方
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
胃腸の消化・吸収機能を整えて「気」を生成し巡らせます。心身疲労に対して代表的な漢方薬です。
下肢が疲れやすく、疲れると手足がほてりやすい方
・六味丸(ろくみがん)
余分な熱を取り除き、水分代謝を促します。また、腎(泌尿生殖器)の働きを高めて元気や精力をつけるため、疲労に効果的です。
疲労感や倦怠感が激しく、手足や腰から下が冷えやすい方
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
体を温め、体全体の機能低下を改善します。胃腸は弱くないが疲れやすい方に向いている漢方薬です。
ただし、漢方薬は、その人に最適な生薬の組み合わせでないと効果がないだけではなく、副作用が起こる場合もあります。大切なのは、自分に合った漢方薬を選ぶことです。
最近、話題になっている「あんしん漢方」では、漢方A Iを利用した「オンライン漢方相談」を行っていますので、こうした相談窓口を利用して、専門家に相談してみるといいでしょう。自分に効く漢方と出会いたい、お手頃価格で不調を改善したい、という方にぴったりです。
日頃のセルフケアでしぶとい疲労を解消しよう
「疲労」という感覚は、体がSOSを出しているサインです。
休んでも疲れがとれない場合は要注意。放置していると、さまざまな病気につながる恐れがあります。疲れに気づいた時点で解消し、快適な毎日を過ごしましょう。
また、今回ご紹介したセルフケアは疲労予防にもつながります。
ぜひ日頃の生活に取り入れてみてください。
<監修者>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 杉岡 弥幸
北里大学で生薬学を学び、卒業後は大手漢方専門店にて漢方薬剤師として勤務。現在は自身のダイエット経験や健康に関する知識を活かして、漢方や養生による体質改善方法をWeb等で発信している。
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