『戦火のランナー』ビル・ギャラガー監督のドキュメンタリー|絶対に観るべき映画一選
YOLO 編集部
- 2021年07月24日
ビル・ギャラガー監督映画『戦火のランナー』(原題:RUNNER)をぜひ紹介したい。何より、私自身がこの作品に出会い、紹介できることを光栄に思う。
人生でこんなに素晴らしいドキュメンタリーに触れられることは少ないんじゃないかと本気で感じるほどドえらい作品で、プレス試写では、記者のほとんどが涙を堪えきれず、泣きじゃくっていた。私も予想だにしない映像や展開に涙腺崩壊だった……。
Index
『戦火のランナー』
- 監督・プロデューサー:ビル・ギャラガー
- 脚本・編集:ビル・ギャラガー、エリック・ダニエル・メッツガー
- 配給:ユナイテッドピープル 宣伝:スリーピン
- 2020年/アメリカ/英語/88分/カラー/16:9
Theater Information
全国にて絶賛上映中!上映劇場やスケジュールはコチラから。
どんな映画作品?
1984年、グルオ・マリアル(以下、「グルオ」)は、スーダン(現:南スーダン共和国)で生まれた。スーダンは長年の内戦下にあった。グルオが8歳の時、生き延びるために家族と別れ、走って逃げた。ある日、敵軍に見つかり、奴隷となる。その後も、何年にもわたり放浪した。すると、幸運にも難民キャンプで保護されたグルオは、アメリカへ移民することができた。
アメリカで入学した学校の授業で走ると、グルオの走りは体育教師の目を引いた。陸上部への入部を勧められ、初めて走ったマラソンで2012年ロンドン五輪出場資格を得た。しかし、当時、南スーダンは建国してまだ一年。国内にオリンピック委員会がなく、代表する国がなかった。グルオは、“国のない男”と呼ばれ、世界中で注目されていった。シカゴ・トリビューン紙は「国際オリンピック委員会(IOC)の態度は、“スポーツへの参加は基本的人権”と掲げるオリンピック憲章の理念に反する」と猛烈に批判。ついに、国際オリンピック委員会(IOC)は、グルオに、個人参加選手としての出場を認めた。
そして、グルオは祖国・南スーダンと南スーダンに生きる人々のために走り始めた。南スーダン共和国の独立を願い続けた南スーダンの人々にとって、グルオは希望、平和の象徴として必要不可欠な存在になっていった。
祖国を胸に、マラソンランナーとして、オリンピックという舞台で走り抜く姿を追いかけた心揺さぶるドキュメンタリーだ。
祖国と平和を願う“RUNNER“が胸を打つ
ディレクター、プロデューサーを務めたビル・ギャラガー監督は、「7年もかけて映画を製作している間は、いつ、誰が、どこで本作を観てくれるのか分からず不安だった」と言う。さらに、図らずも、「オリンピック開催国である日本が、劇場での公開・上映としては世界で初めてされる国となって、監督や選手達からも歓喜の声が上がっています」と話してくれたのは、本作を日本に配給したUNITED PEOPLEの関根健次さん。
若くして強いられた壮絶な戦争体験には言葉を失う。祖国と平和を願うグルオが“RUNNER“として走る姿は、もはや南スーダンの人々にとどまらず、観る者すべての胸を強く打つ。作品を通じて、多くの人々にグルオの人生を追体験し、彼の揺るがない精神力に触れてほしい。そして、もしかすると人によっては、グルオ選手に魅了され、7年もの歳月をかけて完成させた事実やビル・ギャラガー監督、本作チームにシビれるんじゃないかと心底思う。
ぜひ好きな劇場で、観てほしい。
ビル・
Mihoko Inagaki
Writer / Editor / Videographer
2006年〜高レベル放射性廃棄物最終処分問題を取材。その傍ら、『Yogini』をはじめ、トレーニング雑誌のライティング、編集に携わる。2013年、高レベル放射性廃棄物最終処分に関するドキュメンタリー『The SITE -Japan Specific-』を制作。2019年、核燃料サイクル計画映画制作プロジェクトを始動。
http://journalasia.blog22.fc2.com/
- Brand :
- YOLO
Share
Profile
フィットネス、スポーツ、ヘルスケア、食、旅などをテーマに、毎日を楽しく前向きに生きるためのコンテンツをお届けします。