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トレーニングの「ストーリー化」で、心身を健康に!稲垣宗員さん|トレーナー探訪

フィットネス業界を支えるトレーナーを訪問して、仕事へのやりがいやトレーニングへのこだわりをインタビューする連載企画「トレーナー探訪」。

第4回は、「ライフキュレーター」として活躍する、徳島県在住の稲垣宗員さんです。少し珍しい肩書きですが、この道17年のベテラントレーナーです。
一般のクライアントのほか、アスリート、アーティスト、部活動など幅広く指導をしている稲垣さん。インタビューをしていると、トレーニングが持つ大切な「意味」が見えてきました。

トレーナーは人生の「ストーリーテラー」

0→1を生み出すのが役割。ライフキュレーターの持つ意味

ライフキュレーターって、初めて聞く肩書きでした。

「キュレーター」というのはもともと博物館や美術館などで働く学芸員のことを意味しているんですよ。そこからヒントを得て、人生をキュレーション(=情報を整理したり与えること)するということで肩書きをつけました。「どうなりたいか」というお客様の思いに対して、その人その人に合ったメニューを組み合わせて提案する役割だと考えています。

画一的に同じメニューを提供するのではなくて、なりたい姿を一緒に考えるんですね。

ただ与えられたメニューを「本当に脚が細くなるのだろうか」とか「お腹が引っ込むのだろうか」と思いながらやっていても、自分のなりたい姿ってイメージしにくいんですよ。ワインでいうソムリエみたいに、その人に合ったものを選べたらいいなと思っています。私独自のトレーニングばかり教えるのではなく、昔から広く伝えられてきた腕立て伏せなどのメニューもたくさん取り入れていますよ。実は腕立て伏せは腕や胸だけでなく、肩甲骨や体幹に効いたりするので、めちゃくちゃ味わいのある運動なんだということを時間をかけて伝えています。何でもない運動もどんどん広めていっている感じですね。

しっかり意味から伝えているのですね!

私自身アーティスト(ET-KING、かりゆし58)のトレーニングも担当しているので、彼らに感化された部分はかなりあります。例えば、ライブでのMCって何となくしゃべっているわけではないんですよね。MCの後に聴いた歌の染み込み様ってすごいな、聴いた人の人生すら変えてしまうかもしれないなって思ったので、トレーニングでもしっかり話すことに重点を置くようになりました。日本一しゃべるトレーナーかもしれませんね(笑)。

言葉の力の大きさを感じますね。

運動をしている人の1を2に、2を3にするためのことを教えるトレーナーはたくさんいます。でも、運動していない人が運動をするのって「0→1」だと思っていて、私はその大事な部分を取り組み続けていきたい。健康的になるとわかってても、そもそも運動が嫌いだったらやらないですよね。だからこそ運動する意味を見つけて、伝え続けていきたいと考えています。

中学教師からトレーナーへ。変わったことと、変わらないこと

稲垣さんはもともと、学校の先生でしたよね。

中学の体育教師をしていました。部活で見ている生徒に体のことや食べ物の大切さを伝えていたときに、「これをもっとたくさんの人に伝えたい」と思ったのがきっかけです。当時はインターネットも普及し出した頃で、調べたら「ストレングス&コンディショニング」という資格の情報が出てきたので、取得しました。26歳の時でしたね。

そこからプロアスリートや五輪選手、アーティストなど、幅広くクライアントが増えました。

人が好きというのは武器になったと思います。あとは、「楽にできる」という概念を変えてきました。キツくない運動が楽なのではなくて、継続できるのが楽なのがいい運動。継続をとにかく大切にしてきたので、お客様との絆も強くなっていったのかなと感じますね。

逆にこの17年間で、指導の仕方で変わったところはありますか。

最初の頃は「その人の為になろう」という気持ちが強すぎて、合わせすぎていたところはありました。それそのものが自分自身をすごく苦しめていたんですよね、「俺、そんなんじゃないのよ」って。だから今は自分を演じ分けることはあっても、できないことはできないと伝えるし、軸をブレさせないようにはしています。

そのバランスはすごく難しいかもしれないですね。1人1人相手が違うから変えないといけないけど、合わせすぎると自分じゃなくなる…。

料理の味と一緒ですよ。牛丼をつゆだくにするとか、少し甘めにするとか、そういう調整は出来ますけど、「豚丼にしてくれ」って言われたら、違う料理になってしまう。無理やり作った豚丼をお客様が食べても、なんか違うってなると思うんですよね。

ゴールではなく過程を大切に

縛られない、制限されない。生き生きとするために大切なこと

稲垣さんは女性に対してトレーニングするとき、「引き締める」という言葉は使っても「痩せる」という言葉は使っていませんね。

「痩せる」っていう漢字をよく見てください。部首は「やまいだれ」なんですよ。つまり、痩せるという言葉自体に取り憑かれたら病気になるよ、と言っています。トレーニングをゴルフに例えると、ホールインワンをしなきゃいけないような目標設定はやめた方がいい。ボギーだろうがダブルボギーだろうがトリプルボギーだろうが、近づいていったらカップに入るわけで、それよりも過程で見る景色を大切にした方がいいんです。これをやってうまくいったとか、ダメだったとか。その景色をかっ飛ばしたら、本人も苦しくなりますよね。

確かに、プレッシャーでつらくなりそうです。

トレーニングで得られるものは、痩せること以外にもたくさんあります。仕事の効率もよくなったり、メンタル的にもストレスを感じにくくなったり、肌がキレイになったり、健康的になったり、食事もおいしく食べられるし、生き生きすることで好きな人と付き合えるかもしれない。ハッピーになれることってたくさんあるんですよね。

食事でいうと、食事制限をしたり、甘いものがやめられなかったり、きつい思いをしている方もたくさんいらっしゃいます。

我慢することよりも、「我慢しなきゃいけない原因は何なのか」を考えた方がいいですね。甘いものがやめられない理由がストレスなら、そのストレスの原因と向き合った方がいいです。それでいうと、運動はストレス解消になって、甘いものを食べたい衝動を抑える効果もあります。脳を鍛えるには運動しかないと私は思っていて、困ったらそこに戻るようにしています。食欲を抑えるために運動するでもいいし、運動してお腹が減ったなら食べてもいいじゃないですか。

稲垣さんは、「制限をかけない」トレーナーさんなんだなと改めて思います。

絶対しないですね。自分ができないことを人に強いるのは無理。でも「こういう風にやれば運動を続けられるよ」という視点は大切にしています。誰もが運動と思っていないことを運動だと言ってあげたりとか。ご飯を食べるのにお金を使うのと一緒くらい、運動しなきゃいけないと思ってるのであればお金を使う。どうせ将来医療費で取られるんだったら、今ここで落としておいた方がいいと思うんですよね。

フィットネスは「電池」。充電がエナジーになる

フィットネスって、本当に奥が深いですね。

フィットネスは、例えるなら「電池」だと思います。使ったら減るけど充電できるし、何かするときには動力になるし、エナジーがあることが自信になる。「充電=運動」というイメージですね。

稲垣さんのいう0→1のハードルが、もっと下がればいいですよね。

フィットネスの敷居をもっと低くしようというのは常に考えています。例えばスポーツ選手がやっているコンディショニングの方法を知りたい人も多いと思いますが、プロのアスリートがやっていることが特別でもなく、みんな一緒なんです。だからその敷居を壊して、入り口にたどり着きやすいようにしようとしていますね。

稲垣さんの今後の目標はありますか。

運動の「ストーリー化」をもっともっとしていきたいと考えています。そして目の前にいる人をストーリー化できるトレーナーが増えていけばいいな。そうすれば関わる人もすごく幸せになると思うんですよね。競技でも、勝たせることが全て幸せとは限らないじゃないですか。勝つことも大事だけど、その競技を嫌いにならずに頑張っている自分や過程を認めることが大事だと思うんです。だからフィットネスでも、お客様にそういった過程を示せるようにこれからも取り組んでいきたいですね。

フィットネスや運動をする「意味」も含めてのストーリー化ですね!

例えば目の前の人がベンチプレスをするには何か理由があるんですよ。それを聞いて言語化して語れば、その人も作業的にやるのではなくますます頑張れる。そういう伝え方の変換を追求し続けていきたいと考えています。

稲垣宗員(いながき・ひろかず)

1977年、徳島県生まれ。高校時代からラグビーに打ち込む。福岡大学体育学部卒業後、教員や事務職を経てフィジカルトレーナー。現在は全国で多くのプロアスリートやミュージシャン、アーティスト、経営者を顧客に持つ。実践型指導が評判で、全国各地でのセミナーや講演、TV出演等もこなす。部活動・集団指導にも定評がある。
Instagram → gakisan_inasan
HP → http://samurai-stability.com/

【保有資格】
NSCA-CSCS
NKT-Level 2
EBFA-BarefootRx® Rehab Specialist
Easy Flossing Level 2
一般社団法人クレイ・トラスト・リンク協会認定クレイソムリエ
一般社団法人ファイトライフ協会認定ファイトライフトレーナー

 

 

その他の「トレーナー探訪」はこちらから。

連載「トレーナー探訪」

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Profile

久下 真以子

YOLO / コンテンツディレクター

久下 真以子

現役のアナウンサーでスポーツライター(専門はパラリンピック、野球、サッカー)。トレーニング好きが高じてYOLOメンバー入り。夢はベストボディ出場とフルマラソン完走。欲しいものはウエストのくびれ。猫と一緒に暮らす30代女子。

久下 真以子の記事一覧

現役のアナウンサーでスポーツライター(専門はパラリンピック、野球、サッカー)。トレーニング好きが高じてYOLOメンバー入り。夢はベストボディ出場とフルマラソン完走。欲しいものはウエストのくびれ。猫と一緒に暮らす30代女子。

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