姿勢改善で生活の質向上を!ピラティストレーナー・kanakaさん|トレーナー探訪
久下 真以子
- 2021年04月06日
フィットネス業界を支えるトレーナーを訪問して、仕事へのやりがいやトレーニングへのこだわりをインタビューする連載企画「トレーナー探訪」。
第15回は、ボディメイクトレーナーのkanakaさんです。ピラティスを軸とし、パーソナルトレーニングや企業でのグループレッスンを実施しています。kanakaさんは、「姿勢改善」を通して伝えたいことがあります。
Index
女性の身体を整える実力派トレーナー
kanakaさんは大学卒業後、京都のブライダル会社に就職。多くの女性と接する中で、女性の体のメンテナンスに興味を持ち、ピラティスの資格を取得しました。ピラティス講師として、大手ホットヨガスタジオ・パーソナルトレーニングスタジオで年間1600以上のレッスンを担当し、その後、フリーランスとして独立。現在は著名人やモデル、産前産後のママをはじめ、17歳から78歳の幅広い女性への指導を行うなど、実力派トレーナーとして活躍中です。
いいことづくめ!姿勢改善のメリットとは
kanakaさんは「姿勢改善」に特化したピラティストレーナーなんですよね。
ピラティス自体が解剖学を元に体を正しいポジションに持っていくので、姿勢改善につながることはもちろんです。私の場合はピラティスに別の動きを混ぜこみながら、姿勢改善を目指しているという感じですね。ピラティスの動きを覚えてもらうことそのものではなく、ピラティスの考え方やメソッドを織り交ぜながら自分の体の状態を知って、運動してもらうことをゴールにしています。
正しい姿勢やあるべき体になるための、ある意味「手段」としてピラティスがあるということなんですね。
ピラティスの動きに加えて、道具を使ったストレッチやマットトレーニングもしますし、呼吸の練習だけをするという時間もありますよ。ピラティスは背骨やコアを意識しながら行う動きが多いので、正しい姿勢になるためには有効なんですよね。
改めて、姿勢改善をするとどんなメリットがあるのでしょうか。
まずは肩こりや腰痛などの改善、血流の促進などが挙げられますね。また、姿勢を意識することでインナーマッスルが使えるようになるので、代謝が上がったり歩き方がキレイになったりします。また、ピラティスには骨盤周りの筋肉である「骨盤底筋」を鍛える効果があるんですよ。生理痛やPMS(月経前症候群)などの婦人科系トラブルの軽減にもつながりますね。
ピラティスで、女性ならではの悩みも解決できるんですね。
解決できる方は多くいますね。骨盤底筋は骨盤の下にあり、子宮などの内臓を支える大切な部分です。その周辺を動かして温めることで、実際に生理痛がなくなったお客様もいらっしゃいましたよ。骨盤底筋だけでなく、横隔膜や腹横筋(お腹の内部にある筋肉)、多裂筋(脊椎に付着する筋肉)が働くことによって、体幹が安定し、ボディラインを整える効果もあるんです。
ピラティスに出会って感じた「自分の体を知る楽しさ」
kanakaさんがピラティストレーナーになったきっかけを教えてください。
京都のブライダルの会社で働いていた時に、デスクワークをしたり重いものを運んだりしていたことで、肩こりや体の詰まりを感じていたんですよね。そんな時に出会ったのがピラティスでした。体の使い方を学びながら動かしていく、というのが自分の中で初めての感覚だったので、すごく楽しかったんですよ。そんな体験からもっと勉強したいなと思ったのがトレーナーになったきっかけです。最初は仕事にするというよりも、資格を取って自分を高めたいと思っていましたね。でも、いざ資格を取ったら「これは多くの人が知っておくべきだ」「体を整える楽しさを人にも伝えていきたい」と思うようになって、仕事として取り組むようになりました。
最初は大手スタジオでのグループレッスンからスタートしたんですよね。
1~2年はグループレッスンでの指導をさせてもらってから、パーソナルスタジオに移籍しました。お客様によって、体のつくりは一緒でもクセが違ったり、クセが一緒でも動かす感覚が違ったりするので、指導する上で本当に勉強になりましたね。「骨盤底筋を引き上げる」と言っても、感覚的に伝わる人もいれば、違う表現の方が伝わる人もいる。本当に人それぞれなので、もっとパーソナルトレーニングの指導スキルと知識を高めたいと思って、30歳になったころに京都から東京に上京しました。
グループレッスンとパーソナルでは、それぞれ指導の仕方が変わってきそうですね。
もちろんグループレッスンの良さもありますよ。何と言っても楽しいですし、汗をかくのにはピッタリです。ただ、決められた時間の中でピラティスの動きを正確に1人1人にお伝えするのは難しいんですよね。何となく間違ったままの動きを続けていると、逆に体に負担をかける可能性もあるので、対面ではほぼ1対1で指導させてもらっていますね。
最初は趣味で始めたピラティスですが、教える立場になったことで変わったことはありますか。
私自身、昔から陸上やバトンをやっていて体を動かすこと自体好きだったんですけど、「自分のクセを知る」ということは当時は考えていなかったですね。だから、トレーナーの仕事をしてピラティスや解剖学、運動学を学んでなかったら、今ごろ私の体はどうなっちゃっていたんだろう……って思いますね。もともと関節や靭帯が緩めの体だったということもあって、体のことや運動神経のことで悩んだこともあったので、今の仕事をしていなかったら相当体に負担がかかっていただろうなと感じていますね。ただ、その鈍い体の持ち主の私だからこそ、人に伝えられることや人の気持ちが分かることもあるし、教える立場でも活かせていると思います。
姿勢改善で得られる「QOL向上」
大切にするのは「100人のお客様に100通りの伝え方を」
kanakaさんがレッスンをするうえで大切にしていることはありますか。
私の動きをマネするのではなく、自分の体を知って、「自分に集中してもらうこと」を重視していますね。その上でわからないというお客様には、私が実践して、動いている部分を触ってもらったりしています。手で触ることによって落とし込める方もいらっしゃるし、目で見てそのままできる方もいらっしゃいます。伝え方の選択肢というのは、常に持つようにしていますね。
体のクセも、先生の伝えることの受け取り方も、本当にさまざまですね。
呼吸に関しても、かなり最初にウエイトを置いています。深い呼吸には骨盤底筋や横隔膜などのインナーマッスルが大事なんですけど、使えていない方は本当に多いですね。お腹が出てしまう要因にもなるので、呼吸で使う筋肉の動かし方はまず覚えてもらうようにしています。
不調を改善すると、QOLが上がりそうですね。
まさにそこが一番大事ですよね。特に、今はリモートワークなどで体に不調を抱えている人が多いんじゃないかと思います。そんな不調が出たときに、自分の場合はどこをほぐしてあげれば楽になるのかというのを自覚できているといいですよね。うまく自分の体と付き合っていくことが、QOL(Quality of Life)にもつながってくると考えています。
例えばデスクワークで体の重さを感じている女性たちにおすすめの動きはありますか。
無理にやろうとすると負担がかかってしまうので、胸の筋肉を伸ばすストレッチから始めてみてはいかがでしょうか。背中や脇をフォームローラーなどでほぐすのもいいですね。また、呼吸だけでも変わると思いますよ。深い呼吸で背中を膨らますようにして、背中や脇をストレッチさせるのもおすすめです。また、同じ姿勢で凝り固まっている部分は、脱力させるのも大切。脱力の練習もトレーニングの一環になるんですよ。
対面とオンラインの良さを生かし、幅広い人に伝えたい
今後展開していきたいことはありますか。
一見矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、対面のパーソナルトレーニングを大事にしながら、オンラインレッスンにも力を入れていきたいですね。パーソナルの拠点は主に東京、そして地元の京都です。でも、他の地域の方にも姿勢改善の大切さを広く伝えていきたいんですよ。Instagramなどを通して地方の方と知り合うこともあるんですけども、そういった方々にもオンラインを通して正しい情報を伝えて、生活に活かしてもらえたら嬉しいですよね。
コロナ状況下だからこその可能性も、オンラインにはあると思います。
そうですね。対面に関しては、この4月から自分のスペースを持って、マシンを使ったピラティスが提供できるようになりました。対面レッスンを充実させつつも、オンラインでの可能性も広げていこうと考えています。
kanakaさんは今のお仕事はずっと続けていきたいですか。
続けていきたいし、自分の体もまだまだ改善したいし、トレーナーとしてどんどん進化していきたいです。いいトレーナーはたくさんいらっしゃって、私自身も受けに行って学びに行ったりしています。そこで感じたことを自分なりに吸収して落とし込んで、1人でも多くの方の生活の質向上に貢献出来たらと思っています。
最後に、YOLO読者の皆さんにメッセージをお願いします。
見た目をキレイにするだけじゃなくて、機能的に使える体を目指していってほしいなと思います。静止画の状態での耳の位置やお尻の位置など、「キレイなライン」と呼ばれるものがあります。でも、私たちは静止しているわけじゃなくて、日々動いていますよね。動いている体の美しさと機能が一番大切。そのためにも、自分の体と向き合う時間をぜひ作ってみてくださいね。
kanaka
京都出身。都内を拠点にピラティスを軸とした女性向けのボディメイクを指導。大手ヨガスタジオやピラティスパーソナルスタジオにて経験を積んだ後、2016年にフリーランスとして独立。解剖学や運動学を深め、幅広い層のクライアントへ指導し、様々な媒体にも出演している。
身体の使い方を学びながら、骨格から機能的なしなやかで軸の通った身体へ整えていくことの大切さ、心身ともに美しく健康になる心地よさを伝えている。
現在は、自宅、プライベートスペース、オンラインにてレッスンを提供中。
Instagram:kanakamakeb
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Profile
YOLO / コンテンツディレクター
久下 真以子
現役のアナウンサーでスポーツライター(専門はパラリンピック、野球、サッカー)。トレーニング好きが高じてYOLOメンバー入り。夢はベストボディ出場とフルマラソン完走。欲しいものはウエストのくびれ。猫と一緒に暮らす30代女子。
現役のアナウンサーでスポーツライター(専門はパラリンピック、野球、サッカー)。トレーニング好きが高じてYOLOメンバー入り。夢はベストボディ出場とフルマラソン完走。欲しいものはウエストのくびれ。猫と一緒に暮らす30代女子。